続・幼なじみの不器用な愛し方

「渡すか渡すまいか、どうしようねってミヤちゃんとたくさん相談したんだけどね。それこそ、さっき合流する直前まで」

「え……?」

「昨日の話を聞いて……やっぱり、渡さないのは違うと思ったから」


そう言って、鞄から取り出されたのは、化粧品ブランドのロゴが入った小さな紙袋だった。

大橋先生の鞄から出てきたそれが、宮水が用意したものだということは容易に想像がつく。

だけど、大橋先生の言葉の意味はさっぱりわからず頭にハテナが並んだ。


「今ここでは開けないで。1人で開ける勇気がなかったら、俺でもミヤちゃんでもいいから電話して」


また来るね。

わたしに紙袋を手渡した大橋先生は、いつもの穏やかな微笑みを湛えてから別れを告げた。

その後ろ姿と、手渡された謎の紙袋を交互に見て、次に顔を上げた時、大橋先生の後ろ姿は見えなくなっていた。




頭に浮かんだハテナが消えないまま、家路につく。

お盆の間はコワーキングスペースも夏季休暇らしく、お手伝いはない。

シャッターの閉まったテナント部分を素通りし、裏側のアパート入口が見えたところで、


「……あ」


オートロックに鍵を差し込んでいる人物がいることに気付いた。