続・幼なじみの不器用な愛し方

へぇ、と大橋先生が興味深そうに唸る。

わたしの隣に座る宮水が、そうだよ、と身を乗り出してきた。


「気になってたんだよね、その話。大家さん、どんな人?」

「どんな人って……」


そっか。宮水には、いい大家さんだよ、という程度の話しかしてなかったっけ。


「いい人だよ。わかりにくいけど、優しいし」

「何歳ぐらいなの? イメージは無口なおばさまなんだけど」

「……あ」


そっかそっか。本当にわたし、何も言ってなかったんだな。

電話口で、石田さんのこと詳しく話す必要もなかったからなんだけど……。


「男の人だよ。38歳。京都の人かと思いきや、実は大阪出身」

「え!」


わたしに向けられる2人の目が、カッと見開かれた。

先にドリンクが運ばれてきて、2人が注文したアイスコーヒーの香りが辺り一帯に広がる。

わたしの前にもコースターが置かれ、オレンジジュースが乗せられた。


「なんか勝手に女の人かと思ってたから意外」

「そうなの?」

「なんでだろ。……あ、そうだ。家の名前だ」


家の名前……?

宮水の言葉に、わたしは首を傾げる。


「アパートの名前、何だっけ?」

「キルシュ、だけど……」