続・幼なじみの不器用な愛し方

「ふふ。締切明けならちょうどよかったわ。これあげる」


後ろ手に持っていた白い紙袋を、明海さんが石田さんに差し出す。

と、石田さんの目がきらりと輝いた。


「翔福亭やん……!」


初めて聞くような弾んだ声に、わたしは勢いよく顔を向けた。

石田さんにこんな顔をさせる翔福亭とは、一体……?


袋に飛びついた石田さんを横目に、明海さんが耳をこそっと寄せてくる。


「ここらで有名な和菓子屋さんで、智くん、ここのどら焼きが好きなんよ」

「えっ……」


石田さんの大好物が、どら焼き!?

普段の様子とのギャップに、思わず目を丸くする。


「どら焼きだけじゃなくて、外郎(ういろう)もあるやん! ありがとうございます、明海さん」

「いいえ、どういたしまして。美月ちゃんもぜひ食べてね」


わたしの方を向いて言った明海さんに、すぐに反応出来なかった。


「美月ちゃん?」

「え……あぁ、すみません。ありがとうございます。和菓子久しぶりだから、嬉しいです」


どら焼きと外郎を一つずつ取り出された紙袋が、石田さんから回ってくる。

中には和紙のような質感のパッケージのどら焼きと、葉に包まれた外郎が入っていた。