くっきり二重の目、綺麗に筋の通った鼻。

薄い唇に、笑顔の隙間に姿を見せる八重歯。

時には変身スーツを着て闘ったり、時にはヒロインを真っ直ぐに想う男子高校生になったり、時には難事件に挑む警察組織の一員となったりして、世間に名を轟かせている人気若手俳優の神崎有斗(かんざきあると)


そんな彼は──


「──き……つき」

「ん……」

「美月」


肩を揺り動かされて、微睡の中から意識が浮上する。

薄く開けた瞼の隙間から眩しいほどの光が差し込んで、思わず眉間に力を込めた。


「そろそろ時間。起きろ〜」


顔にかかっていた髪を、長い指に優しく梳かされる。

甘ったるいその手つきがくすぐったくて、思わず笑みが漏れた。


「おはよぉ」

「おはよ。コーヒー淹れるけど、おまえもいる?」

「いるー」


返答を聞いた彼は、わたしの頭を撫でてから寝室を出ていった。

眠っているうちに彼が着せてくれていたルームウェアを一旦脱いで、傍に置いていてくれた下着を布団の中でもぞもぞと身につける。

春目前とは言え、一晩温めた布団から出るのはまだつらい時期だ。

クイーンサイズのベッドからようやく這い出て、扉が開け放たれたままだった寝室を出た。