先輩に誘われた次の日の朝

「あ、すずめじゃん、昨日しおんちゃんの誘い断ったんだって?」

駅のホームで中学からの先輩で仲のいいお姉さんの芽室れむちゃんと遭遇した

朝駅で出会う事は別に珍しい話じゃないし、れむちゃんとしおん先輩が同じクラスだって話も聞いてるから話題に出ることもよくあるけど

でもまさか昨日の今日の出来事を聞かれるとは思ってもなかった

「えっと…?」

「あー、昨日帰りにしおんちゃんとばったり会って聞いた、嫌われてるんじゃないかって不安がってたよ」

私が聞く前にれむちゃんが事のあらましとその時の様子を教えてくれる

まさかの嫌われてる説に関しては何も言わずに全力で首を横に振った

「わかってる、でもなんで断っちゃったの?まさか推しはあくまで推しだからみたいな?私だったら普通に役得だと思っちゃうけど」

れむちゃんなりの解釈を話してくれてるけれど

実際はそんなに殊勝な心がけなんかじゃなくて

「普通に緊張しすぎて無理…」

ただ私の心臓が持つ気がしないからでしかなかったりする