いちご

それから1年と数ヶ月

3月になってチラホラと桜が咲き始めた頃

「すずめはもっと泣くかと思ってた」

「わかる、大好きなしおん先輩の卒業なのにめっちゃコロッとしてる」

先輩達の卒業式を迎えて、同級生達にいじられ?てる中

「だって別に自分の卒業でもないし、先輩とも別に普通に会えるし」

卒業と言っても別に先輩と会えなくなる訳でもないから泣くとかは無い、無いんだけど

「正妻の余裕ってやつですか」

「余裕なんて無いよ、大学ってことはイケメンとか美人さんとかにしおん先輩が気に入られて口説かれたらって考えると今にも泣きそうだし、学年が違うのが本当に…」

正直学年が違うことに対しての不安とかはまだまだ今もある

というか今だからこそある

「なーに?みんなしてなんの話してるの?」

そんな話をしてる中しおん先輩が突然やってきて

うん、今日も可愛い

「すずめがしおん先輩の卒業が寂しいって泣いてました〜」

「泣いてはない」

「ええ〜?泣いてくれてもいいのに?」

そう言って楽しそうな先輩もやっぱり可愛くて愛おしい

「まあいいや、すずめ、帰ろ?」

「はい!じゃ、お先!」

「ほんと嬉しそうだな」

「私らと一緒の時の倍は嬉しそうな顔しちゃって」

なんてみんなにいじられるけど、そりゃ恋人と一緒に帰れるんだから嬉しくもなる

「先輩」

「どうした?」

先輩の手を握りながら

「大好きです」

私はこの幸せを噛みしめる


TheEND