どうやって帰ったのかも覚えていない

ただしおん先輩に先に帰ってもらってからしばらくはその場から動けなかった

ようやく落ち着いて寒さを感じ始めてから帰った

そんな気がする

夕飯もお風呂も済ませたけれど感覚がない

気が付いた時にはパジャマに着替えて布団の中

このまま眠れたらどれだけ良かっただろうか

「ぁぁぁぁあ!!理性がどうとか絶対言う必要ないし!」

ただ私は布団の中で枕に向かって今日の後悔をぶつけていた

「ぁぁぁぁあ!!」

言葉にならない悶えに近い声も全部枕が吸収する

それで収まるような精神状態ではない

というか

「しおん先輩は推し…なのに…」

あくまで先輩の事は推しとして好きだったはずなのに

私の胸の中で上目遣いで笑う先輩の顔を思い出してまた顔が熱くなる

「あんな顔…誰にも見せたくない…」

まるで、恋愛小説のヒロインのようなセリフは

近くにあったぬいぐるみを抱きしめながら

誰にも届くこと無く消えていった