「兵士様はね、王子様くらい強い魔力を持ってるんだって! 迷ったあたしを見つけて助けてくれたりね、あの迷いの森も出入り出来るんだよ! 」

 娘は自慢げに、そばにいる彼を子供らに紹介した。

「あの森を!? すごぉい!! 」

「今日は兵士様がお客様だから、忙しいだろうからちょっとだけど宴をするよ〜。みんな、お手伝いしてきてね! 」

 彼女の言葉に子供らは元気に、はぁい!と返事をすると、皆が集まっている広場に揃って走って行った。

「……。」

「ゆっくり歩こ〜♪」

 子供らを見送ると、娘はまた歌いながら呑気に歩き出す。

「お前……王子を恨んでいないのか? 」

「え、どうしてですか?? 」

 心妙な面持ちで聞いてきた彼に、娘はまたキョトンとしてそちらを見た。

「……お前は王子の『相手』の為に、いきなり城へ、それも無理やり連れてこられたはずだ。そして痛い思いをし、出て行けと……」

 彼は、なぜ彼女が自分を恨まないのかが疑問で仕方なかった。
 しかし、娘から返ってきたのはまた呑気なもの。

「ん〜と……悲しかったです、役に立てなくて。でも、王子様はあたしにとって憧れだから!! 」

「憧れだと……? 」

 彼は娘を嘲笑った。