弱さを知る強さ

◎恭介◎

あやはと連絡が取れなくなって2ヶ月ちょっと
電話も出ないメッセージも返ってこない
家に行ってもずっといない
引っ越してはないはずだからどっか違うところに寝泊まりしてるのか?

あの頃、俺は本当に忙しくて切羽詰まっていた

あやはのこともちろん頭にあったけど自分の患者の管理も忙しくなってイライラしてしまった

あのあとよく考えると本当に申し訳ないことをした
本人の意思を尊重せず拘束してしまった
謝りたいけどあの日以降、実習も来てなかったし消息もつかなくなった

...プルルル

当直開け家で仮眠をとってゆっくりしてると
母さんから電話がかかってきた

「なに?」

『恭介、あやはちゃんとなんかあった?』

「え?」

『いまあやはちゃん、クリニックきてるよ』

「なにしに?」

『なんかお父さんに相談って
でもお父さん今日、学会に行ってて
いなくて聡が話聞いてる』

「体調悪そう?」

『うん、かなり』

「...そっか」

『なにがあったの?』

「話すと長くなるけど俺が悪いんだ」

『あやはちゃんには悪いけど電話繋げっぱなしにしておくから話聞いてて』

「うん」


「恭介はここに来るの知ってんの?」

「...」

「なに?今喧嘩中?」

「...」

「なんか言えよ」

「すみません」

「親父に何の相談?」

「薬を処方してほしくて」

「何の薬?」

「痛み止めがもうなくて」

「恭介に処方してもらえよ」

「...」

「ちゃんと治療うけてんのか?」

「いや...」

「いつから恭介と会ってないの?」

「2ヶ月...」

「2ヶ月もほったらかし?
バカじゃねーの?
早く、恭介のところいけよ」

「...」

「2ヶ月もほったらかしにしてるやつに出す薬はない」

「...わかりました
帰ります」

「ここに恭介呼ぼうか?」

「いいです!いいです!やめてください」

「なるべく早く治療うけろ
恭介が嫌なら他の医者でもいいから専門医のところ行け」

「...」

「紹介状かいてやる」

「いいです」

「じゃあ恭介ここに呼ぶ」

「もうやめてください」』