◎恭介◎
2日、クリニックを手伝って次の日からは総合病院に戻って外来に担当患者、救急にも入って忙しい日々を過ごしていた
2週間ほど経ったある日勤の日
夕方くらいに回診のために病棟を歩いていた
すると病室から数人の女性たちが出てきた
きっと入院患者の面会だろう
ん?よくみたらこないだ親父のクリニックで診察した子も紛れていた
びっくりした
あの後、ちゃんと診てもらったのか気になって声をかけた
「すみません」
周りの子達も本人もびっくりして俺を見た
少し沈黙の時間が流れたが気付いたようで
目を見開いた
「インフルは無事治ったようだね、よかったです」
「人違いじゃないですか」
あの日のようにまた俯いて顔を見ようとしない
でも絶対に気づいている
「今日はどうしたの?
ちゃんとお腹みてもらいにきたの?」
「え?」「え?」
周りの女の子たちが驚いているってことは
そうではないみたい
「かえで、今日は帰るね
ゆっくり休むんだよ」
「...うん、ありがと」
その子は入院中の子に声をかけると急いでその場を去ろうとした
「待って、神田さん」
急いで病棟を出てエレベーターに乗り込んだ
彼女の後を追って同じエレベーターに乗った
「人違いです」
彼女は俯いたまま言った
「俺が診断書書いたんで名前はおぼえてます
面会できた時に下で名前書いてますよね?
問い合わせてもいいですか?」
「...」
何も言わなくなった
俺はやっぱり間違ってない
確信を持てた
「インフルはもう大丈夫?」
コクッ
頷いた
「よかった、相当体調悪そうだったから
心配してたんだ」
「...」
「お腹みてもらってって約束したけど
どこか行った?」
「...」
「まだ行ってないの?」
「俺、消化器の病気ばかりみてるからなんとなくわかるんだけど...検査したほうがいい」
フリフリ
首を振った
「他の病院でもいいから行かないと」
「...」
黙り込んで話にならない
「少し部屋に入って話しない?
俺、もう今日は仕事ほぼ終わってるし」
フリフリ
エレベーターが開いて
一階についた
そそくさと出ていく彼女の後を追って腕を掴んだ
「じゃわかった
こないだのは腹痛できっとインフルで熱上がって
お腹もびっくりしてたんだと思う
もう一度見せてよ。それでなんもなかったら病院なんて行かなくていいよ」
今まで俯いてた顔を少し上げて俺の顔をみた
なるべく心を開いてくれるように
俺は満面の笑みを浮かべた
「帰ってもいいですか」
え、今の反応は
いいよ
の反応じゃないのか
わからない
「ちょっと動いただけでお腹痛くなったりしない?」
「...」
「その痛い原因突き止めてなんとかしよう
協力するからさ」
「大丈夫です。」
このまま話をしても埒があかない
「...わかった。
そんなに嫌なら帰ってもいいけど早めに治療始めなよ。手遅れになったら怖いから」
一階にも外来にきてる患者がたくさんいる
そんな人たちの中でこの会話をしてるとあまり本人も
周りの患者さんたちも良い気はしないだろう
ペコッ
お辞儀をして早歩きで俺の前を去った
さっきの面会してた患者の情報を同期に聞くと喘息の治療で入院をしていた看護学生の患者らしい
そのお見舞いに来ていたのは大学の友人だそうだ
ということは彼女も看護学生なのか
自分は大丈夫だと過信をしているのか
それとも向き合うのが怖くて逃げているのか...
気にはなるがそこまで深追いすることもないだろう
そこから彼女のことを思い出すことはしばらくなかった
◎
2日、クリニックを手伝って次の日からは総合病院に戻って外来に担当患者、救急にも入って忙しい日々を過ごしていた
2週間ほど経ったある日勤の日
夕方くらいに回診のために病棟を歩いていた
すると病室から数人の女性たちが出てきた
きっと入院患者の面会だろう
ん?よくみたらこないだ親父のクリニックで診察した子も紛れていた
びっくりした
あの後、ちゃんと診てもらったのか気になって声をかけた
「すみません」
周りの子達も本人もびっくりして俺を見た
少し沈黙の時間が流れたが気付いたようで
目を見開いた
「インフルは無事治ったようだね、よかったです」
「人違いじゃないですか」
あの日のようにまた俯いて顔を見ようとしない
でも絶対に気づいている
「今日はどうしたの?
ちゃんとお腹みてもらいにきたの?」
「え?」「え?」
周りの女の子たちが驚いているってことは
そうではないみたい
「かえで、今日は帰るね
ゆっくり休むんだよ」
「...うん、ありがと」
その子は入院中の子に声をかけると急いでその場を去ろうとした
「待って、神田さん」
急いで病棟を出てエレベーターに乗り込んだ
彼女の後を追って同じエレベーターに乗った
「人違いです」
彼女は俯いたまま言った
「俺が診断書書いたんで名前はおぼえてます
面会できた時に下で名前書いてますよね?
問い合わせてもいいですか?」
「...」
何も言わなくなった
俺はやっぱり間違ってない
確信を持てた
「インフルはもう大丈夫?」
コクッ
頷いた
「よかった、相当体調悪そうだったから
心配してたんだ」
「...」
「お腹みてもらってって約束したけど
どこか行った?」
「...」
「まだ行ってないの?」
「俺、消化器の病気ばかりみてるからなんとなくわかるんだけど...検査したほうがいい」
フリフリ
首を振った
「他の病院でもいいから行かないと」
「...」
黙り込んで話にならない
「少し部屋に入って話しない?
俺、もう今日は仕事ほぼ終わってるし」
フリフリ
エレベーターが開いて
一階についた
そそくさと出ていく彼女の後を追って腕を掴んだ
「じゃわかった
こないだのは腹痛できっとインフルで熱上がって
お腹もびっくりしてたんだと思う
もう一度見せてよ。それでなんもなかったら病院なんて行かなくていいよ」
今まで俯いてた顔を少し上げて俺の顔をみた
なるべく心を開いてくれるように
俺は満面の笑みを浮かべた
「帰ってもいいですか」
え、今の反応は
いいよ
の反応じゃないのか
わからない
「ちょっと動いただけでお腹痛くなったりしない?」
「...」
「その痛い原因突き止めてなんとかしよう
協力するからさ」
「大丈夫です。」
このまま話をしても埒があかない
「...わかった。
そんなに嫌なら帰ってもいいけど早めに治療始めなよ。手遅れになったら怖いから」
一階にも外来にきてる患者がたくさんいる
そんな人たちの中でこの会話をしてるとあまり本人も
周りの患者さんたちも良い気はしないだろう
ペコッ
お辞儀をして早歩きで俺の前を去った
さっきの面会してた患者の情報を同期に聞くと喘息の治療で入院をしていた看護学生の患者らしい
そのお見舞いに来ていたのは大学の友人だそうだ
ということは彼女も看護学生なのか
自分は大丈夫だと過信をしているのか
それとも向き合うのが怖くて逃げているのか...
気にはなるがそこまで深追いすることもないだろう
そこから彼女のことを思い出すことはしばらくなかった
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