◎恭介◎
まだ覚悟が揺らいでいるのはわかっている
ただ麻酔科の先生も準備してくれてるしオペ室も開けてくれている
今日させないとどうせまたやらないのが俺はわかっていた
少し強引だったがオペ室に連れてきた
「お願いします」
「はい、じゃあ神田さんここに寝てください」
オペ室の看護師にあやはを預けて
自分の準備をするために一旦部屋を出た
最後まで俺の目を見ることはなかった
オペ後のフォローはしっかりしないといけない
俺の大仕事
気合を入れてオペ室に戻った
「大丈夫、大丈夫だから
神田さん、お願いやめて」
もう麻酔が入って寝ていると思っていたが
オペ室が騒がしい
「離して、やっぱりやらない」
看護師数人であやはをおさえている
「どうした?」
「オペが嫌だって暴れ出して...
ルート抜かれるところだったんで
ああっ」
抜いた...
「おい」
あやはに声かけたが反抗的な態度は変わらない
「やっぱりやらない」
「お前な」
「私はお前って名前じゃない
離して!どいて!」
「もう時間ない
オペの時間は決まってんだよ
迷惑かけんな」
「だから今日はやらない!
他の患者さん優先していいよ」
「それができないんだよ
考えたらわかるだろ
お前のために時間を...」
「だからお前って呼ぶな!」
やばい
こんなあやは初めて見た
「ごめん...でも」
「金森先生、いいよ、ゆっくり話して」
麻酔科の先生だ
「いえ、すみません
すぐに落ち着かせます」
「その考えがよくないよ
オペするのは神田さんなんだから
落ち着かせるじゃなくて
一緒に寄り添うんだよ」
「でも...時間が」
「俺は時間大丈夫だしこのオペ室も今日は午後も空いてる
そんな長くかかるオペじゃないし
ゆっくり気持ちに整理がついてからはじめよう」
「そんな先生にご迷惑を...」
「神田さん、私が今日のオペの麻酔管理を担当します小野寺です。よろしくお願いします。
初めてだし不安だよね...
目の前の金森先生が1番焦ってるし余計にね
でも大丈夫、オペはうまくいくし心の準備できてからやろう!ゆっくりでいいから」
「...」
「私、ちょっと仕事残ってるからやってくる
なんかあったら呼んで」
「本当にすみません。
ありがとうございます。」
みんな気を遣って部屋から出て行った
あやはは全く俺を見ずに口も開かない



