◎恭介◎

神田 あやはが運ばれてから2週間が経った頃
昼過ぎに救急に呼び出されて行ったが
対応が終わって階段で病棟に戻っていた

「うぅぅぅぅ」

うめき声が上の階から聞こえる
急いで上がるとお腹を抑えてうずくまってる看護師がいた

「大丈夫ですか?」

「...大丈夫です...はぁ...はぁ」

「担架持ってきますね」

「大丈夫なんで」

うずくまってた看護師が俺の腕を掴んで
顔を上げた

「おい、お前」

「金森...先生」

神田 あやはだ
よく見るとここの病院のスクラブじゃない

「実習ここでしてんのか?」

「...うん...お腹が...いたくて
でも...すぐ良くなるから...」

「どこの病棟?」

「...」

「戻れないだろ
少し横になれ」

「...大丈夫だって」

「ダメ、学校の先生に言ってくる
実習禁止だ、自分がここまでしんどくて
患者のことなんてケアできないだろ」

「...じゃ...卒業できなかったら
...責任とってくれんの」

「治ってからまた頑張れ」

「...絶対に嫌」

立ってその場から逃げようとするが
痛くてしっかり歩けてない

...プルルル
「金森です、病棟側の階段3階と4階の間に担架お願いします。実習生がお腹を抑えて...」

バシッ

腕を掴まれて院内携帯を奪われた

「やめろ」

「...言わないで」

「このまま戻れないだろ」

「...少ししたら治るから」

「ふざけるな、返せ」

手を出したが電話を切られて返してくれない

「...今回だけ...見逃して、...お願いします」

「無理、俺は何回もチャンスを与えたはずだ
それを全部蹴って逃げ続けた、その結果がこれだ」

「...」

「携帯返せ」

「...絶対いや。
...先生に言わないで...
実習に戻してくれるなら返す」

「この状態で実習には戻さない」

「...」

「とりあえず検査をやれ
その結果に応じてしっかり治療をうけろ
それを約束するなら先生には言わない」

「だからできないんだって」

「なんで?」

「理由言ったってわかってくれないでしょ」

「言う前から決めつけるな」

「...」

「今日は実習ダメだ
みんなお前が勝手にいなくなったらびっくりするだろ
病棟どこだ?」

「...」

「わかった、全部の病棟にかけまくる」

「...4西」

しばしば答えた