◯あやは◯
金森先生が準備してくれた個室で勉強をしてると9時半になって日勤の看護師さんがバタバタし始めた。
個室でも外のバタつきは感じる
いつドアが開くのかわからないドキドキがあって集中ができない
諦めて勉強道具を片付けてベッドに潜り込んだ
...トントン
きた
「あやは、起きてる?」
金森先生の声だ
「さっき言ってた担当看護師が決まったから紹介する
顔出して」
起きてるか返事してないのにバレてるらしい
「おはようございます」
可愛い声が聞こえて思わず布団から顔を出した
可愛い雰囲気の看護師さんだった
「神田さんの担当看護師になりました
前村 なつきです
よろしくお願いします」
「...お願いします」
「何かあれば私でもいいし私以外でもいいので声かけてください」
「...」
「まず熱と血圧計らせてください」
「...」
「その間に俺、お腹触ってもいい?」
されるがままにベッドに横になって終わるのを待った
お腹の痛みも落ち着いてもうなんともない
「じゃあとでまたくるから
勉強ほどほどにちょっと休め」
「...うん」
「じゃ一旦私も失礼します」
みんな部屋からいなくなってまた1人
勉強始めようにもなんだか気が重い
少し経ってから部屋を出て病棟内を散歩にでた
デイルームには自動販売機があって
患者さんもちらほら座っている
私の部屋からナースステーションは少し距離があって
ちょうどいい
エレベーターホールにも自動販売機があってそこに私の大好物のココアが売っている
「あっ、神田さん」
後ろから声をかけられ振り向くと金森先生の同期で救急医の先生がいた
「入院してるの?」
「はい」
「そっか、部屋どこ?
今度遊びにいくよ」
「...いや」
「おい!」
少し離れたところから金森先生が歩いてきた
「おう、恭介」
「俺の彼女を口説くな」
「えっ、お前ら...」
「おう」
私の横にきて肩を抱いた
「おっ、めでたい
ずっと恭介好きだったもんな」
「えっ」
みんな知ってたの...
「今度3人で飲みに行こう」
「春樹忙しいだろ」
「お前らのためなら時間作るよ」
「じゃあやはが退院したらスケジュール組もう」
「おう、じゃあな」
金森先生も忙しそうだけど救急医はもっと忙しそう
「ここで何してる?
部屋でゆっくりしとけ」
「病棟どんな感じか散歩してた」
「こないだ入院した病棟と変わらん」
前回、あんまり散歩しなかったからわからないけど実習してた病棟とはだいぶ違う
デイルームの場所も違うしナースステーションの雰囲気も違う
「売店行ってきていい?」
「検査の話したいんだけど...
先そっちしてもいい?」
「...」
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