転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

「で、でも俺はツンデレ大好きだぜ! 大丈夫だ、安心しろ。俺は前世では陰キャだったんだ。前世のことはお互い気にしないことにしよう!」

 あ、思いっきり陰キャだとバラしちゃったぞ。どうなんだ、これは悪手なのか!?

「はぁ……もういいわ。とりあえず転生者なのね」

 呆れられてしまった。お調子者な俺様キャラはもうやりにくいな。
 
「はい……」
「ちょ、なんでいきなりテンション下がってるのよ」
「どうせ陰キャなんで。調子にのってすみませんでした……。コミュニケーション能力が低いんです、本当にすみません。反省してます」
「はぁ!? 私が王子をいじめてる婚約者に見られるじゃない。チャキチャキ演じなさいよ、おバカ王子でしょ」
「……めちゃくちゃだな」

 どんな自分でいればいいのかも、分からなくなってきた。

「とりあえず、ご飯でも食べましょう。あなたの分も買ってきてあげたわ」

 サンドイッチの入った紙袋を突きつけられる。やさしいな。

「天使か。ありがとう……」 
「本当に調子狂うわね」

 実は、完全におバカ王子を演じているわけでもない。素でも多少はおバカなところ――不用意な一言が多いお調子者になる。今までニコラとして生きてきた記憶やこの脳の思考の癖……それなりの影響は受けている。前世ほどネガティブにならないのは、別の身体だからだろう。 

 病みやすいタイプと病みにくいタイプには、脳の構造上の違いも影響しているのかもしれない。ニコラ自身の感情を伴った記憶も、ただ情報をインプットするだけのゲームや漫画より強く、今の俺を形成している。

 ……ラビッツもそうなのかもしれない。何かが彼女をツンデレにさせているのか。

 王立の学園だけあって敷地が広い。

 寮もあるし庭園も王宮を彷彿とさせる。だからこそ学費もすこぶる高く、門戸は開かれているものの、王族や貴族と富裕層ばかりだ。

 人気のない場所まで歩くと、ラビッツが「この辺りにしましょうか」と言うので、隣に腰を下ろした。

 ん? もしかして俺、女の子と二人きりでベンチに座ってランチを食べるの図になってるんじゃねーか?

 うぉっふ、緊張する!
 ドキドキしてきたぞ。