転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

 ここにいる総勢二十人ほどの台車レース参加者もそう思ったようだ。やばいぞ、何人か惚れたんじゃないか!? そういえば前世でもベル子が一番人気だった!

「ベル子さん、この前は何も言えずにすみません!」
「え?」
「次からは静観しません! ベル子さんの素晴らしさは俺たちが証明します。どれだけ吹雪いても負けません!」

 やっぱり吹雪いていたか。負の感情を抱くと局地的にその場だけ雪が降ってしまう。

 姉は会うとわざとベル子を傷つけるんだよな……自分や家から離れたいと思わせようとしている。

「さっきのバリアもかっこよかったです!」
「俺は剣術科じゃないですが、マジ惚れました!」

 これは、ベル子ファンクラブができる勢いだぞ。

「あ、え、べ、ベル子って……」
「駄目でしたか。それなら改めます」
「だ、駄目、じゃない」

 赤らめた顔で一人一人をじっと見る彼女は、皆のアイドルになりそうだ。逆にストーカーが現れないか心配なくらいだけど……いざとなれば雪が降るだろうからな。他の奴が止めてくれる可能性は高いかもしれない。
 俺のせいだし、注視しておこう。

 リュークが側に寄ってきた。

「おい、ニコラ。どうしてこうなったんだ?」
「さぁ……皆のアイドルになるポテンシャルがあったんだろう」

 空気が生ぬるい。

「よっし。もういっそ、俺たちも混ざってもう一度台車に乗るか!」
「ええ!?」
「俺だって遊びたいんだよ!」

 その日、放課後の空の下で台車が走った。

 魔法を使わずに、リュークも剣術科の先輩と台車レースをしていた。

「俺の速さについて来れるかな!」
「負けるかー!」

 ベル子とルリアンは笑い合いながらそーっと片足でケンケンしながら乗ってはしゃいでいた。交代で他の男子が彼女らを乗せて走ったりもしていた。

「にゃーも楽しみたいから、一台だけ残しといてほしいにゃん!」

 トラの言葉を聞いて、オリヴィアとラビッツと俺は他の皆を見送る。すっかり仲よくなった彼らの笑い声が、姿が見えなくなるまで耳に残った。