「ベル子、大丈夫か?」
リュークが気遣うように声をかけた。ベル子はすぐにいつもの調子に戻ったように見えた。
「平気」
そう言った声は落ち着いていたものの、どこか無理をしているような感じもする。
この様子……やはりリュークは既にベル子の事情を知っているのか。
「私、吹っ飛んでいった方たちの様子を見てきますね」
「私も行く」
ルリアンは治癒魔法が得意だからな。ベル子も、怪我の具合を見たいんだろう。
「リューク、二人をよろしくな」
「お前は?」
「残った生徒たちに話を聞くよ」
「頑張れよ、王子様っと」
「肩書きだけはビッグな雑用係だよな。記録はラビッツに頼もう。この前のも綺麗にまとめてもらったしな。顛末を覚えといてくれ」
チラリとラビッツを見る。
「し、仕方ないわね」
このツンデレ感!
たまらない!
「じゃ、あとでな」
リュークたちを見送ると、一度眠っていた見張りも指パッチンをして起こした。チョイチョイと親指で背後を差し「暴走していたから止めたんだ」と伝え、一緒に彼らのところへ行く。見たところ、一人を除いて全員先輩だ。
「やぁやぁ、俺たちは学園パトロール隊だよ」
「はい……ニコラ様、申し訳ありませんでした」
二十人くらいいる中で、スッと一人が前に出てきた。やはり貴族。俺の相手をするのは自分しかいないという自負があるんだろう。侯爵の息子で顔見知りだ。後ろにいる彼の弟が唯一の俺たちとの同学年だな。兄に誘われて羽目を外しに来たのだろう。
「備品を勝手に使うのはよくないな。台車の持ち出し許可は?」
「メンバーに園芸部の者がいまして。届いた備品を運ぶのに台車を使うと、倉庫の鍵をお借りしました」
「なるほど。見張りもいたよね。静音魔法も張っていた」
「……はい」
「いいことをしている自覚はなかったと」
「もうしません。すみませんでした」
楽しいことに水を差してる気分だな。
「いっそのこと、競争クラブとかサークルでもつくればいいんじゃないか?」
「へ???」
「楽しそうだったしな。身分関係なく皆で遊ぶ、多いに結構だ。君はいい生徒だよ。ただ、嘘はよくない。放課後に特定の場所で何かの競争でもするサークルでもつくればいいじゃないか。ルールも決めて届けを出せばできる」
「あー……」
「速度メーターを備品で買ってもらって、危険回避の方法も明示すれば許可も下りるさ」
一定範囲内で一定のスピード以上の動く何かを感知するとアラームが鳴る魔道具などが、ここには普通に存在する。
「そ、うですね」
「黙って悪いことをするのが楽しいって?」
「い、いえ……」
学生の醍醐味だからな。俺はそんな陽キャたちを、遠巻きに見ている側だった。
パトロール隊の目的は、生徒を罰へと導くことではない。先生に報告するほどではない軽いいたずらや小さな揉め事を、必要以上に騒がず、穏やかに収める。そうして、学校を少しずつ居心地のいい場所にしていく――それが、俺たちの役目だ。
リュークが気遣うように声をかけた。ベル子はすぐにいつもの調子に戻ったように見えた。
「平気」
そう言った声は落ち着いていたものの、どこか無理をしているような感じもする。
この様子……やはりリュークは既にベル子の事情を知っているのか。
「私、吹っ飛んでいった方たちの様子を見てきますね」
「私も行く」
ルリアンは治癒魔法が得意だからな。ベル子も、怪我の具合を見たいんだろう。
「リューク、二人をよろしくな」
「お前は?」
「残った生徒たちに話を聞くよ」
「頑張れよ、王子様っと」
「肩書きだけはビッグな雑用係だよな。記録はラビッツに頼もう。この前のも綺麗にまとめてもらったしな。顛末を覚えといてくれ」
チラリとラビッツを見る。
「し、仕方ないわね」
このツンデレ感!
たまらない!
「じゃ、あとでな」
リュークたちを見送ると、一度眠っていた見張りも指パッチンをして起こした。チョイチョイと親指で背後を差し「暴走していたから止めたんだ」と伝え、一緒に彼らのところへ行く。見たところ、一人を除いて全員先輩だ。
「やぁやぁ、俺たちは学園パトロール隊だよ」
「はい……ニコラ様、申し訳ありませんでした」
二十人くらいいる中で、スッと一人が前に出てきた。やはり貴族。俺の相手をするのは自分しかいないという自負があるんだろう。侯爵の息子で顔見知りだ。後ろにいる彼の弟が唯一の俺たちとの同学年だな。兄に誘われて羽目を外しに来たのだろう。
「備品を勝手に使うのはよくないな。台車の持ち出し許可は?」
「メンバーに園芸部の者がいまして。届いた備品を運ぶのに台車を使うと、倉庫の鍵をお借りしました」
「なるほど。見張りもいたよね。静音魔法も張っていた」
「……はい」
「いいことをしている自覚はなかったと」
「もうしません。すみませんでした」
楽しいことに水を差してる気分だな。
「いっそのこと、競争クラブとかサークルでもつくればいいんじゃないか?」
「へ???」
「楽しそうだったしな。身分関係なく皆で遊ぶ、多いに結構だ。君はいい生徒だよ。ただ、嘘はよくない。放課後に特定の場所で何かの競争でもするサークルでもつくればいいじゃないか。ルールも決めて届けを出せばできる」
「あー……」
「速度メーターを備品で買ってもらって、危険回避の方法も明示すれば許可も下りるさ」
一定範囲内で一定のスピード以上の動く何かを感知するとアラームが鳴る魔道具などが、ここには普通に存在する。
「そ、うですね」
「黙って悪いことをするのが楽しいって?」
「い、いえ……」
学生の醍醐味だからな。俺はそんな陽キャたちを、遠巻きに見ている側だった。
パトロール隊の目的は、生徒を罰へと導くことではない。先生に報告するほどではない軽いいたずらや小さな揉め事を、必要以上に騒がず、穏やかに収める。そうして、学校を少しずつ居心地のいい場所にしていく――それが、俺たちの役目だ。



