あれ。
前を歩いていた三人が、いつの間にか足を止めてこちらをじっと見ている。自然と俺たちも止まった。
「どうした?」
「あー。ニコラ、そしてラビッツ」
あらたまってどうしたんだ、リューク。
「俺が全員、守ってやんよ。この国の王子も仲間も、誰も傷ついたりしないから安心しろ」
かっこよく持ってかれたぞ!?
「私も。剣も得意。さっきは謙遜した」
「はわわ、私だって治癒魔法得意ですからね! みんなでお二人をお守りします。そうですよね、おかしな魔法の気配ですから危ないことがあるかもしれませんよね。浮かれてしまって、すみませんでした。皆で未来の国王陛下と王妃様を守ります!」
ぐお! 最後の言葉のプレッシャーが酷い。俺だって鍛えてるし強いんだぞ! 頑張ってるんだぞ!
「そうよね。ごめん。皆で立ち向かいましょう」
「はい! 気を引き締めて行きましょう。えいえいお〜!」
「……えいえいお〜……」
おお、ベル子のゆったり『えいえいお〜』が出た! よく見るとラビッツの目がキラキラしているな。やはりナマの台詞は興奮して――って?
「ニコラ、聞けて嬉しい?」
どうして、突然むくれた顔でこっちを見るんだ。しかし、ニヤつきも隠せていない。どんな顔だよ。
「まぁな」
「ふーん」
「お前だってそうだろ」
「もちろん」
それなら睨むなよ。
意味深な顔で、袖をくいくいと引かれる。
「さっき、ほんのちょっぴり、わずかに少しだけ王子様らしかったから、サービスしてあげる」
「へ?」
ラビッツが俺を引き寄せて耳元で囁いた。
「……寂しいのは嫌い」
ぬぁ!?
いきなり例のラビたんの台詞が! ゲームでは俺に向けることはなかった、ラビたんのあの台詞が!
「もう一回お願いします!」
「駄目。今のは特別サービスしてあげただけよ」
「なんでしてくれたんだ! 理由を教えてくれ!」
「王子らしかったからだってば。一回だけなの!」
王子らしさ!?
王子っぽいことを言えばいいのか!?
「王子……王子とはなんだ……」
「変なことを考えてないで、前を向いて歩きなさいよ」
ラビッツが掴んでいる俺の袖をぐっと揺らす。それと同時に、前を歩くベル子がぼそっと呟いた。
「……ラブラブ」
よく分からないが、もしかして親密度は上昇しているのか!?



