「えっと……バリアが得意。剣も、多少は使える」
ベル子もリュークと同じく剣術科だ。彼らが常に持っている剣は、授業以外では鞘に収めておかなければならない。鞘から抜くと、武器に帯びた微量の魔力に学園の「魔力探知」の魔道具が反応し、職員が駆けつける仕組みになっている。
もっとも、探知するのは攻撃性の高い特殊な魔力だけだ。武器類にその魔力を帯びさせ、常に鞘などの専用ケースに入れておくことは法律で定められている。料理の着火などで使う魔力まで探知していたらきりがないし、発電システムにも魔法が使われている。武器以外の異常な魔力を探知するのは、学生の力では難しい。
「じゃ、次は俺だな。といっても、剣が得意なだけだ。浄化もできるが」
リュークは、自分の膨大な魔力を剣に乗せることができる。威力は爆上げになるし、光を帯びて浄化作用もある。主人公だから規格外に強い。
さて、俺の番か。
「俺は王族直系だからな。女神様の祝福を受けているとかで、高度な精神魔法が扱える。鎮静化や鼓舞、催眠とかね。ただし、精神と魔力の消耗が激しくて、使うとすぐバテる。対象が少人数なら、そこまででもないけどね」
ちなみに、俺の護衛をしている黒子には、王族がこの力を無闇に振るわないよう、見張り役も兼ねている。
「次は私の番ね。転移魔法が使えるわ。でも、同じく精神と魔力の消耗が激しいから、時間を空けて一日に二回が限度。自分を含めて二人までしか運べないし、行ったことのない場所には転移できないわ。成長すれば転移できる人数も増えて、疲れにくくもなるらしいけど。人ではなく物だけを転送することもできるけど、そちらは下準備が必要ね」
転移魔法は特殊魔法だ。この能力を持ち、俺と仲のいい侯爵令嬢だからこそ、ラビッツは俺の婚約者に選ばれた。人や物を転送する魔法技術は発展しているものの、転移魔法能力者が仕上げをしなければ魔法陣も正しく機能しない。
この魔法を扱えるかどうかは才能が全てで使い手も少ないので、能力者は転送装置の管理といった仕事に就けることが約束されたようなものだ。人の転移でなければ、魔力消耗もそれほど激しくないしな。
どうしてこの能力があると俺の婚約者に推されやすいかといえば、危険が迫っても一緒に逃げられるからだ。もし俺が国王になれば、できる限り側にいることになるだろうな……。リュークとくっついた場合は最終的に、二人でイチャイチャ俺の側近エンド。それが、ゲームでのラビッツルートだ。
よし、あとはここにいないオリヴィアか。
「オリヴィア嬢については俺が説明しておくよ。彼女はテレキネス能力者だ。知っている相手の頭にメッセージを飛ばすことができるものの、一文程度が限界で、多少は魔力も消耗する」
「そうなんですね。ありがとうございます、ニコラさん」
「ああ」
テレキネス能力者は受容性も高い。王族である俺のメッセージも彼らに飛ばすことができるものの、それは王家から口外禁止を言い渡されている。王族特権能力……多いんだよな。
「皆さんもありがとうございます。お互いのことがよく分かりましたし、張り切ってパトロールをしましょう! せっかく集まっていただいたので、今日はお休みの日ですが、早速この『導きのペンデュラム』を使ってみようと思います!」
ルリアンが円卓の上に学園マップを広げた。



