転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

「それより、今日はどうするのよ」

 話を変えたな。
 俺もその方が助かる。

「はい。今日はこれから、今後のパトロールの方針を決めたいと思います!」
「そこからか……」
「はい、そこからです」

 ゲームではリュークが主人公で、ルリアンがメインヒロインだ。大体はこの二人の会話によって共通シナリオが進んでいた。

 俺は先を知っているだけに、余計なことを言いそうだ。未来予知キャラにならないためにも、あまりしゃべらないようにしよう。

 ……もう手遅れかもしれないけど。
 
「まずは、それぞれの得意な魔法や能力を確認し合うのはどうかしら」

 おお、ラビッツ! 守りに入ってダンマリしようと思った俺とは違う! やっぱり、知っている会話だけが続くのはつまらないからな。

「最高にいい考えだな、ラビッツ! さすが俺の婚約者! いざという時に状況に応じて誰を頼ればいいか分かるからな。好きだぜ!」

 ――スパーン!

「褒めすぎ」
「理不尽だ!」
「……ラブラブ?」
「だから違うわよっ」

 まったく。せっかく記憶力のいい頭の持ち主になったというのに、ポコポコ叩くんだもんなー。

 ま、そんなに痛くはないけどな。というか、どんどん威力が落ちている。ラビッツの中にも、俺に対する仲間意識が芽生えてきたのかもしれない。

「あはは。私もいい考えだと思います。実は、とってもいいものを学園長からいただいてきたんです」

 ジャッジャーン、と効果音付きでルリアンが取り出したのは、この学園のマップと振り子だった。高級そうなケースをかぱっと開けると、中にはクリスタルの振り子――ペンデュラムが収まっている。

「旧校舎でこちらを使うと、おかしな魔法が使用されていたり魔力溜まりができている場所が分かったりするらしいのです!」
「おお、すごいな。最先端の魔道具か?」
「はい! 仕組みは分かりませんが、名前は『導きのペンデュラム』です」
「なんで名前があるんだよ……」

 リュークとルリアンは息が合っているように見えるけど、どうなんだろうな。恋愛関係になるかどうかは、まだ分からないな。

 ちなみにこの振り子は、学園全体を霊的に把握している顧問が、霊力のようなものでこっそり動かしている代物だ。

「それから、私は治癒魔法が得意なので、お怪我をされた際はお任せください。浄化や回復魔法も扱えます!」

 パチパチと皆が拍手をして、次は隣に座るベル子を全員がじっと見る。