転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

「そうだな。婚前交渉はよくないな」
「そ、そうよ」

 俺はそんなに興奮しているように見えたのか。

「キスだけならいいかな」
「う、うん……」

 小さく頷いてくれる。

 その仕草に導かれるように、そっと顔を近づける。距離がゆっくりと縮まり、彼女が目をつむった。

 ――唇が触れる。

 ラビッツの温もりに愛おしさが増す。というか、押し倒されているラビッツの図に興奮してきた。

「この体勢だと、ラッキースケベ事件を思い出すな」
「……あんたは本当に余計な一言が多すぎるわ」
「他の場所も触っちゃ駄目か?」
「もうっ、駄目に決まってるでしょ!」

 そう言いながらも、ラビッツの腕が俺を引き寄せた。

「私も好き」

 もう一度、唇が触れた。

「ラビッツ……!」
「じゃ、そろそろ行きましょう。はい、起こして」
「もう一回したい。ついでにもう一回好きだと言われたい」
「また今度ね」

 悪戯っぽく微笑まれた。そうハッキリ言われては、何もできない。

 ツンで、デレで――、
 そして大好きな俺の恋人との日常。

 それがこれからも続くと信じて、ラビッツと二人、並んで歩き出した。

「早くラビッツと結婚したいな」
「あなた次第でしょ」

 そっと空へと手を伸ばす。 
 願いの光が二つ、青空へと溶けていった。

 願いの光は、別名「願い星」。
 星が空へと昇る世界。
 ここは、願いが叶う世界だ。

 突然、人生が終了してしまった俺たちや、前世を覚えていないかもしれないけど、他の皆も叶えられなかった願いを胸に、この場所へ辿り着いたのかもしれない。

「二人きりの約束、する?」
「約束?」
「そう。幼い頃の三人の約束じゃなくて、今の私たち二人だけの約束」

 ラビッツと小指を絡ませ合う。

 ――ずっと一緒にいよう。

 ここは、願いを叶えて次へと向かう世界。あまりにも唐突に終わってしまった前の人生。好きだった世界で見つけた、奇跡のような輝き。

 君とここで、歳を重ねていきたい。