転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

「俺、もうほんとに何度も何度もラビッツのことが好きだと思って。暗くなりそうな時にも明るい気持ちにさせてくれるしさ」

 ラビッツの顔がだんだんと赤くなる。

「笑った顔も、怒った顔も、拗ねた顔も、全部大好きだ。全部愛しているんだ」
「う、うん」

 ラビッツの両肩に手を添える。

「ほんとにさっ、すごくすごく好きでっ……」

 我ながら語彙力が消え失せている自覚はある。可愛いラビッツを見ていると、頭がおかしくなる。

「ずっと我慢してた。今はそんな時じゃないって。先のことを考えて辛かったのもあるけど、やっぱりラビッツのことが好きだから何もしないのも辛くて」

 語彙力皆無だな!?
 気持ちは伝わってると信じよう。

「ま、待って。落ち着いてっ」
「待てない。もういいよな。もう我慢したくないんだ」
「わ、分かったからっ」

 俺が顔を近づける度になぜか遠ざかるぞ!?

「た、頼む、ラビッツ」
「ちょっ、ちょっと待っ……」

 ラビッツが後ろへと体勢を崩した。

 ――ドサッ。

 すかさず、倒れきる前に腕を差し入れた。覆いかぶさる形になってしまう。

「だ、大丈夫か」
「まままま、待って! わ、私にだって心の準備ってものがっ、あ、い、嫌ってわけじゃなくてっ。で、でもっ、あのねっ」

 夏には何度もキスしたのに。なんで遠ざかったんだ。もしかして俺のこと、もう……。

「ま、待って、泣かないで! 違うの、まだ早いと思うのっ。そ、それに、ここ外だし!」

 外だけど……人目はない。
 人目がない場所では以前はキスも受け入れてくれた。やっぱり俺のこと……。

「そ、それに、前世の記憶はあるけど、ここでは王子と令嬢だし! こ、ここ、婚前交渉は駄目だと思うの!」

 ……ん?

「そ、そりゃね、あ、あんたも男の子だしね、わ、分からなくもないけどっ、で、でもねっ」

 ラビッツの顔は真っ赤で、目の焦点が合っていない。手を突っ張って必死に距離を取ろうとしている。

「だ、駄目なんだからっ!」

 ……そうか。
 今、ラビッツの頭の中で、俺とラビッツはそうなっているのかもしれない。それはそれで萌えるな。