転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

「それでは、あらためましてセイナちゃん、戻ってきてくれてありがとうございます!」

 ルリアンの言葉に皆がわーっと拍手する。

 今は始業式が終わり、パトロール隊の部屋へと皆で集まったところだ。

 始業式のあとは、セイナはしばらく身動きが取れなかった。あっという間に生徒たちに囲まれて、泣きながら抱きしめられたり、手を握られて質問攻めにされたり。「ただいま」と笑って返すセイナの姿に、あぁ、本当に戻ってきたんだと誰もが実感していた。

 そして今。
 セイナは再び、仲間たちと共にここにいる。

「ありがとうだよぅ。皆待っててくれて、安心しましたっ。それに、授業も履修登録されていてびっくりです」

 選択した履修登録表は、全員がさっき受け取ったばかり。ルリアンと同じ授業がとれるように、俺が休み前に学園へ頼んでおいた。

 授業は明日からだ。

「もうっ、また丁寧語に戻ってるわよ。緊張しないで」

 ラビッツもにこにこと嬉しそうだ。

「うぎゅぅ。実は少し記憶にあやふやなところがあって……だから緊張するの。皆のことが大好きって思いは強いんだけど」
「はわわ。じ、実は私もです。セイナちゃんが大好きって気持ちは強いんですけど」
「……私もそう」
「にゃーは結構覚えてるにゃん。ただ、オリヴィアにゃんは……」
「ええ。残念ながら、私も記憶にあやふやなところがあるわ」

 やっぱりそうか。

 思念品の場合は、本来もうなかったものだからか、そのもの自体の記憶は浄化するとあやふやになる。俺も、ラビッツとのラッキースケベなアレコレの記憶は鮮明に覚えているものの、ベッドの色や形は既に朧げだ。

 思念品ではなく思念体側も、そうなのかもしれない。

 ただ……セイナのことを俺はまだ鮮明に覚えている。ラビッツも、何も言わないということは覚えているのだろう。理由は分からない。この世界とは別のところで彼女を知っていると、そうなるのだろうか。

 リュークが穏やかに笑った。

「ま、これからいくらでも時間がある。忘れられない思い出を、また一緒につくっていこう」

 その一言に、ふわっと皆に笑顔が広がった。

 ここにいる。
 また、皆でいられる。

 その実感が、じんわりと部屋を満たした。

「初日だし、セイナは二人きりになりたいんじゃない? 遠慮なくイチャイチャしてきていいよ」

 ベル子が天井を指さした。
 屋上でってことだな。

「うぎゅ!? い、今は皆といたいしっ」
「俺たちにも、いくらでも時間があるからな」
「う、うぎゅ〜」

 からかうような表情のリュークに、赤くなるセイナ。

 ——あぁ、こんな未来が見たかったんだ。

 誰も泣かずに笑っていられる、ただそれだけの、やさしい日常を。

 こっちがゲームでも正規のアナザーストーリーでよかったんじゃないか、という気すらしてくる。前世ではバスタオルを片手に泣いたのに。