転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

「ふふっ、お二人とも本当に仲よしさんなんですね」

 そんな羨ましそうな顔をして……。友達をずっと求めていたんだもんな。

「ルリアン嬢とも、もう仲よし気分だぜ? マブ友マブ友!」
「あ、ありがとうございます」
「あんたは調子のりすぎ。私だってその、友達になったと思っているわ」
「えへへ、嬉しいです」

 ……仲よくなってるな。やはりこの世界では俺だけが知る悪役令嬢になるのか、ラビッツ。

「おー、待たせたか」

 ギィ、と扉を開いてリュークたちが入ってきた。この校舎だけは古臭く、音が鳴る扉が多い。普段は使われてすらいない。旧校舎で、なぜか取り壊されずにここにある。近くにある塔も同様だ。ここ以外の校舎は全て「王宮か!」と言いたくなるくらいに立派なのに。

 ゲームのお陰で理由は知っているけどな。このゲームが泣きゲーと言われるゆえんだ。

 泣きゲーだからこそ、冬が近づくと……。

 いや、今は考えるのはよそう。

「あ。もしかして、メンバーさんを連れてきてくれたんですか?」
「おお。やっぱりニコラたちも入ったか」
「はい、即決でした!」

 あれ、ラビッツが入ったことになってるな。まぁいっか。
 
「やっぱりな。じゃ、早速だけど紹介する」

 リュークが連れてきたのは二人の女の子。一人は紺色の髪をポニーテールにしている。瞳は藍色で、人形のように表情をあまり変えない彼女の名は――、

「まずは、ベルジェ・クリストフ。ぼーっとしていたから連れてきた」
「リュークさん、誘拐は駄目ですよ〜」
「大丈夫。聞いてる。パトロール隊に入る」

 ベル子、ゲーム通りにやや片言だな。

 ちなみにゲームのオープニングのキャラ紹介にも使われていた彼女の印象的な台詞は「あなたは、やさしい人ですか」だ。負の感情を強く抱くと雪を降らせてしまう能力があるゆえの、初対面の時の台詞だ。

 もうリュークは聞いてきたのだろう。俺たちと一緒に過ごしながら感情のコントロールを身につけようとかどうとかこうとかリュークに唆されてここにいる。
 
「ってわけで、誘拐じゃねーよ。ベル子って呼んでやってくれ」
「あだ名ですか! いいですね、えっと、ベル子さんっ」
「はい、ベル子です。あなたは……?」
「ルリアン・ウィービングです。ルリルリって呼んでもいいですよ」
「ルリルリ……」
「やったぁ! あだ名で呼んでくれるお友達ができました」
「ルリルリ……」
「やったぁ!」

 ああ……ゲームと同じだ。見ていると、ほんわかする。

 ベル子はその厄介な性質のせいで、遠い親戚のいるジャパリス国にずっと住んでいた。ベル子の「子」はそっちの名前でよく使われる。入学を機に両親のいるこの国に戻ってきて、言語もあらためて勉強中だ。

 そして、ジャパリス国の言葉は日本語だ。俺は転生と同時に二カ国語を操れるようになっている。つくづくニコラの記憶を持っていて助かった。