「奇跡なんて起きない……私は一度死んだのっ! 死んだんだよ。こんな言葉言わせないで。言うのだってすごく辛いの!」
パトロール隊の全員が、声を次々と張り上げる。
「にゃーだって、死んだにゃん! でもここにいるにゃん!」
「トラちゃん……」
「あなたはもう隊員の一人でしょう! 投げだそうなんてそうはいかないわよ!」
「え……、えっと、オリヴィアさん? ま、まさか……」
「皆、知ってる。セイナのこと。だって、一人だけ寮に戻らずに思わせぶりに旧校舎に残ってたし」
「うぎゅぅ。ベル子ちゃんは、こんな時にも辛辣だなぁ」
「昨日の夜、寮に戻る途中でリュークさんとニコラさんに聞いたんです。セイナちゃんのこと」
「そっか……」
えへへとまた、セイナが悲しそうに笑った。
「昨日まで黙っててくれたんだね。ありがとう。私からはどうしても言えなかった。皆の笑顔を曇らせると思って。今の今まで言えなかった。すごくすごく楽しかったよ。もう十分ってほど、思い出をもらった。幸せな最後の記憶と一緒に、空に還れる」
セイナが空を見る。
光に満ちた空を。
「本当にもう……思い残すことなんてないんだよ」
柵越しに、透けているセイナの手ををガシリと掴んだ。
「俺と、俺たちともう思い出をつくりたくないのかよ!!!」
「もう! 最後くらい綺麗にお別れさせて! リュークくんの分からず屋!」
光の塔から声が聞こえた。
『皆に伝えなければならないことがある』
ニコラだ。
いつもとは違う、重みのある声。今は、ラビッツと二人で光の塔の上に立っている。
『旧校舎の屋上にいる――皆がよく知る、セイナ。彼女は特別な存在だ。生きている人間じゃない。噂として誰もが聞いたことあるだろう、旧校舎のゴーストであり思念体。かつて事故により亡くなり、まさに今日、この世界から光と共に還ってしまうはずの存在だ』
周囲が凍りついたように静まりかえる。
『彼女もそれを自覚しているからこそ、立ち去ろうとしている。皆と楽しく遊びたかった。そんな願いを叶えて天に昇ろうとしている』
ニコラとラビッツが、真っ直ぐにこちらを向いた。
パトロール隊の全員が、声を次々と張り上げる。
「にゃーだって、死んだにゃん! でもここにいるにゃん!」
「トラちゃん……」
「あなたはもう隊員の一人でしょう! 投げだそうなんてそうはいかないわよ!」
「え……、えっと、オリヴィアさん? ま、まさか……」
「皆、知ってる。セイナのこと。だって、一人だけ寮に戻らずに思わせぶりに旧校舎に残ってたし」
「うぎゅぅ。ベル子ちゃんは、こんな時にも辛辣だなぁ」
「昨日の夜、寮に戻る途中でリュークさんとニコラさんに聞いたんです。セイナちゃんのこと」
「そっか……」
えへへとまた、セイナが悲しそうに笑った。
「昨日まで黙っててくれたんだね。ありがとう。私からはどうしても言えなかった。皆の笑顔を曇らせると思って。今の今まで言えなかった。すごくすごく楽しかったよ。もう十分ってほど、思い出をもらった。幸せな最後の記憶と一緒に、空に還れる」
セイナが空を見る。
光に満ちた空を。
「本当にもう……思い残すことなんてないんだよ」
柵越しに、透けているセイナの手ををガシリと掴んだ。
「俺と、俺たちともう思い出をつくりたくないのかよ!!!」
「もう! 最後くらい綺麗にお別れさせて! リュークくんの分からず屋!」
光の塔から声が聞こえた。
『皆に伝えなければならないことがある』
ニコラだ。
いつもとは違う、重みのある声。今は、ラビッツと二人で光の塔の上に立っている。
『旧校舎の屋上にいる――皆がよく知る、セイナ。彼女は特別な存在だ。生きている人間じゃない。噂として誰もが聞いたことあるだろう、旧校舎のゴーストであり思念体。かつて事故により亡くなり、まさに今日、この世界から光と共に還ってしまうはずの存在だ』
周囲が凍りついたように静まりかえる。
『彼女もそれを自覚しているからこそ、立ち去ろうとしている。皆と楽しく遊びたかった。そんな願いを叶えて天に昇ろうとしている』
ニコラとラビッツが、真っ直ぐにこちらを向いた。



