「それでは皆様、グラスの準備はいいでしょうか。――乾杯!」
掛け声と共に、ジュースの入ったカップが空に掲げられる。『シュワたま』の炭酸の泡がはじけるカップ。みんなの「かんぱーい!」の声が中庭に響いた。
「よぉっし。皆、食べようぜ!」
ニコラが我先にとフォークを持って、にっしっしと笑う。この普段の王子らしくないところをバカにされたりも昔はしていたが、今は立ち回りが上手くなったように感じる。
この中庭は今日は生徒による貸切だ。今は準備時間としてパトロール隊の貸切ではあるが、開催時間になれば他の生徒も来れる。だからこそ、寮のキッチンではパトロール隊以外の生徒との交流もあったようだ。
俺たちが今から食べるのは、パトロール隊専用味見コーナーと札に書かれた机の料理だけだが……結構な量がある。
「ん〜っ、ゼリーおいしい!」
「セイナが作ったのはどれだ?」
「一個だけ分かるようにしておいたんだ。これだよ」
「待て。中に見えるのは唐辛子じゃないか?」
「リュークくん、辛いの好きだからね。それだけ特別仕様だよぉ」
「食べたくねぇ……!」
「うぎゅぅ」
「じ、冗談だ。いただきます」
これは……食べられなくもないが、絶望的にゼリーとは合わない。
「どう?」
「セイナに料理のセンスはないな」
「そんなぁ。じ、じゃぁこれは?」
焼き菓子の甘い香りが漂う中、肉の匂いが混じっている。セイナが差し出してきたのは串焼きだ。
「なんで肉なんだ」
「男の子なら肉だよね。私が入れてもらったんだ」
「確かに、肉は美味いな。うん、美味い」
「えへへ。肉を焼くセンスはあったでしょ」
バーベキューセットが傍らの一角にある。そのコーナーだけは優雅さの欠片もない。そんな、なんでもアリなのがいいのだろう。
灯りが風に揺れ、秋空の下で笑い声が絶えない。お菓子の甘い匂いに包まれて、俺たちはただそこで楽しい時間を過ごした。
開催時間には、他の生徒たちもやってきた。各自おやつやバーベキューで焼く肉や野菜を持ってきたりして、盛り上がった。
誰もが「セイナちゃん、おめでとう!」と祝っている。わずかな違和感を払拭するのに、ちょうどいい掛け声なのかもしれない。
俺は訓練もしているので、耳もいい。ニコラと生徒会長の会話が聞こえてきた。
「生徒名簿に名前がないことも分かっている。違和感を誰もが持っていることも知っている。だからこその、開催だ。頼む、彼女の存在を全面的に受け入れてくれ。人の力だけでこの規模は無理だと分かるだろう。憐れみ深い女神の祝福だ」
……ニコラ、お前は何をどこまで知っているんだ。
掛け声と共に、ジュースの入ったカップが空に掲げられる。『シュワたま』の炭酸の泡がはじけるカップ。みんなの「かんぱーい!」の声が中庭に響いた。
「よぉっし。皆、食べようぜ!」
ニコラが我先にとフォークを持って、にっしっしと笑う。この普段の王子らしくないところをバカにされたりも昔はしていたが、今は立ち回りが上手くなったように感じる。
この中庭は今日は生徒による貸切だ。今は準備時間としてパトロール隊の貸切ではあるが、開催時間になれば他の生徒も来れる。だからこそ、寮のキッチンではパトロール隊以外の生徒との交流もあったようだ。
俺たちが今から食べるのは、パトロール隊専用味見コーナーと札に書かれた机の料理だけだが……結構な量がある。
「ん〜っ、ゼリーおいしい!」
「セイナが作ったのはどれだ?」
「一個だけ分かるようにしておいたんだ。これだよ」
「待て。中に見えるのは唐辛子じゃないか?」
「リュークくん、辛いの好きだからね。それだけ特別仕様だよぉ」
「食べたくねぇ……!」
「うぎゅぅ」
「じ、冗談だ。いただきます」
これは……食べられなくもないが、絶望的にゼリーとは合わない。
「どう?」
「セイナに料理のセンスはないな」
「そんなぁ。じ、じゃぁこれは?」
焼き菓子の甘い香りが漂う中、肉の匂いが混じっている。セイナが差し出してきたのは串焼きだ。
「なんで肉なんだ」
「男の子なら肉だよね。私が入れてもらったんだ」
「確かに、肉は美味いな。うん、美味い」
「えへへ。肉を焼くセンスはあったでしょ」
バーベキューセットが傍らの一角にある。そのコーナーだけは優雅さの欠片もない。そんな、なんでもアリなのがいいのだろう。
灯りが風に揺れ、秋空の下で笑い声が絶えない。お菓子の甘い匂いに包まれて、俺たちはただそこで楽しい時間を過ごした。
開催時間には、他の生徒たちもやってきた。各自おやつやバーベキューで焼く肉や野菜を持ってきたりして、盛り上がった。
誰もが「セイナちゃん、おめでとう!」と祝っている。わずかな違和感を払拭するのに、ちょうどいい掛け声なのかもしれない。
俺は訓練もしているので、耳もいい。ニコラと生徒会長の会話が聞こえてきた。
「生徒名簿に名前がないことも分かっている。違和感を誰もが持っていることも知っている。だからこその、開催だ。頼む、彼女の存在を全面的に受け入れてくれ。人の力だけでこの規模は無理だと分かるだろう。憐れみ深い女神の祝福だ」
……ニコラ、お前は何をどこまで知っているんだ。



