転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

 あれから、パトロール隊の活動は少し忙しくなった。『ポチの部屋』にはよくセイナも入り浸っているようだ。「思念品はお仲間って感じがするんだよね。この部屋のデザインも好きだな」と言っていた。

 踊るくま人形をザクッと浄化したことをセイナにもブーブー言われたのは、仲間意識があつたからなのか……。

 ボトルフェスは「瓶と持ち主がセットで落ちていればいいのにな」と言ったらセイナが湖近くのラグナシアのことを教えてくれた。意識すれば学園内のことを視ることも感じることもできるようだ。

 プールで水面ダッシュしていた時はふわふわと俺の首に巻き付くようにしてキャーキャー言っていたし、ラッキースケベ事件(?)の時はさんざんニコラたちをからかっていた。

 ……聞こえてはいないけどな。

 そして、とうとう秋が来た。
 セイナの姿を誰もが見えるようになった。皆の記憶も書き換わった。セイナがわざとやっているわけではなく、「皆ともっと遊びたかった」という強い願いのせいか、そうなってしまうようだ。ニコラの父親の時もそうだったらしいので、予想通りだそうだ。

 俺の記憶だけは書き換わっていない。
 皆と齟齬が発生するので、あまり過去の話はしないようにしている。

 ニコラの提案で歓迎会まで行われることになった。ニコラは全員の歓迎会だと言っていたが……間違いなく、彼女の事情を知っているのだろう。

 学園の中庭。

 屋台のように机や椅子が並べられている。秋晴れの空に、浮遊式の灯りが紐につながれてふわふわ浮かんで賑やかだ。

「完全に祭りだな」

 ニコラがふふんと胸を張る。

「皆で準備すると、そうなるよな」

 ラビッツはテーブルの上にクッキーの山を積んでいる。焼き立てらしく甘い香りが漂ってきた。他にも色とりどりのカラフルゼリーが紙皿に並べられている。マカロンもまたカラフルだ。

 ラビッツがクッキーを割って、セイナの口に差し出した。

「セイナ、どうぞ」
「えっ、も、もう?」
「味見よ、味見。はい、あーん」
「あ、あーん。おいひいでふっ! でも、さっきも味見したよぉ?」
「青空の下の味見は格別よ」

 ラビッツも残り半分のクッキーを口の中に放り込んだ。

「うぎゅ。本番で食べられなくなりそうだよぉ。でもでも、おいしい〜」

 食べなくても大丈夫なのは変わらないものの、姿が皆に見えるようになったことで食べられるようにはなったらしい。「排泄は?」と聞いたら「乙女に聞くな!」と殴られた。

「よし、準備万端だな」

 ニコラも満足そうだ。