転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

 探すと言っても、他のメンバーはリュークが見つけてくるからな。俺たちは何も成果がありませんでした状態でリュークと合流することになる。それを分かったうえで、探さないといけないわけで……。

「ルリアン嬢はどこに行きたい?」
「へ?」

 あ、ゲームではルリアンちゃんと呼んでいたのに間違えた。女の子に「嬢」をつけるのはもう癖になっている。まぁいいか。これから名前を呼ぶことも多いだろう。ゲームみたいに時間は飛ばないし、普通の呼び方にしておこう。

「ルリアン嬢が行きたいところに行こう。どうせ探すなら、君が一番魅力を感じる場所がいい」

 ルリアンは実はちょっと可哀想な子だ。両親を事故で亡くし、早く家を継げるようにと健気に頑張っている女の子だ。貿易で成り上がった富裕層の家で、今は祖父母が実権を握っている。『いつ倒れるか分からないから、早く一人前になりなさい』と厳しい教育を受け、友達と放課後に遊ぶことさえ許されなかった。だから、寮で生活できるこの学園が、仲のいい友達をつくる最後のチャンスだと考えている。
 
「え、えっとえっと、そうですね……」
「待ちなさいよ」
「ん? ラビッツはどこかへ行くんだろう?」

 ゲームでは、この後ルリアンと俺の二人でリュークと合流したはずなんだが。一緒に来るつもりか? いや、来ないよな。さっき断ったもんな。

「はぁ!? あんた、婚約者がいながら他の女の子を口説くなんて、どういうつもりよ」
「ええ!? 口説いてないぞ。な、ルリアン嬢」
「はい。えへへ、ニコラさんとラビッツさんはお似合いですね」
「おう!」

 馴れ馴れしくしている自覚はあるから、そう見えたのかもしれない。仲間意識も芽生えたしな。

「…………」

 あれ、ラビッツに睨まれた。なんか殺意まで感じるくらいだぞ? あ、そうだった。ラビッツはリュークを狙うとか言ってたな。ここは……苦しいが、ラビッツのために否定しておくか。

「ま、間違えた。お似合いじゃないのかもしれない。えっと、腐れ縁だ」
「えー、お似合いですよ〜。念力でツーカーの仲なんですよねっ」
「ま、まぁな」

 不用意な自分の発言のせいで、迷走しているな。少し深呼吸して落ち着こう。

 ラビッツは何を考えているのだろう。黙ったまま、ついてきているが……。

 女の子の考えていることは分からない。前世でもそうだった。そういえば、ギャルゲーの女の子は感情が分かりやすいよな。だから男向けなのか。だとすると、前世持ちのラビッツは、俺にはかなり手強いんじゃ……。

 チラッと振り返る。

「なによ」
「後ろじゃなくて、横に並んだらどうだ?」
「……私に指図しないでくれる?」

 そう言いながらも俺の隣に来た。

 ものすごくピリピリしているけど、わざわざ近づいてきてくれるのは、かなり嬉しい。

 誰か、今の親密度を教えてくれー。

 そんなことを願いながら、俺は再び足を進めた。