「ありがとう、ニコラ王子」
瞳に浮かぶ涙。彼女は俺の父親の前でも同じ姿だったのだろう。
「歓迎会をやろう」
「え?」
「全員の歓迎会だ。やらないまま今日まで来たからな。準備して、今度の休みには全員の歓迎会をやろう」
「わぁ、いいですね。私、お菓子を作ってきます」
「私も手伝うわ」
「ありがとうございます」
……大丈夫なのか。釘が打てるクッキーにはならないか。あのクッキーは美味しかったが。
「ニコラぁ? 今、失礼なこと考えなかった?」
「き、気のせいだ、気のせい」
バレてる……。
「私は部屋の飾り付けをする」
「それなら、にゃーはベル子にゃんに的確なアドバイスをするにゃん」
「ということは、私も飾り付け担当ね。あ、でも外でやるのもいいかもしれないわよ。学園の許可は必要でしょうけど」
オリヴィアも積極的になったものだ。
「わっ、私は、えっと」
「俺とリュークとセイナは、そわそわ担当だな。開始までそわそわしよーぜっ」
「わ、私だって何かしたいです〜!」
「セイナちゃんも、一緒に作りましょう? 宝石みたいな色とりどりのゼリーはどうでしょうか」
「ものすごく食べたくなってきました!」
「作りたくじゃねーのかよっ」
軽快なリュークの突っ込みは、親しさの表れだ。
ゲームでは夏休みまでに特定の女の子と仲よくなり、二人きりのデートが各ルートのエンドとなる。ベストエンドであれば、後日談が見られる形だ。
そして、全員を攻略すると、アナザーストーリーが解放される。
セイナ・ラミエルはアナザーストーリーで出会う少女。リュークとルリアンのベストエンドのあとの話。二人がまるで妹を見守るようにセイナと過ごす。そして最後には――。
この世界では違う。
今までの会話と雰囲気で察してしまった。
決意が揺らぐ。
どうしていいのか分からない。
ラビッツと恋人になった今の俺だからこそ、分かる。二人の間に、特別な空気を感じるんだ。リュークとセイナ、二人で過ごす時間がたくさんあったのだろうと――確信できるんだよ。
ゲームとは違った形のアナザーストーリーを歩んでいるじゃないかって。リュークと彼女が既に知り合っている可能性もあるかもしれないとは……わずかに思っていた。違和感もあった。
でも、まさか……この二人が既に特別な関係になっているなんて……。
何も知らないフリをして、苦い予感を飲み込んで笑ってみせる。
「楽しい歓迎会にしようぜ!」
俺にできるのは、それくらいだ。
瞳に浮かぶ涙。彼女は俺の父親の前でも同じ姿だったのだろう。
「歓迎会をやろう」
「え?」
「全員の歓迎会だ。やらないまま今日まで来たからな。準備して、今度の休みには全員の歓迎会をやろう」
「わぁ、いいですね。私、お菓子を作ってきます」
「私も手伝うわ」
「ありがとうございます」
……大丈夫なのか。釘が打てるクッキーにはならないか。あのクッキーは美味しかったが。
「ニコラぁ? 今、失礼なこと考えなかった?」
「き、気のせいだ、気のせい」
バレてる……。
「私は部屋の飾り付けをする」
「それなら、にゃーはベル子にゃんに的確なアドバイスをするにゃん」
「ということは、私も飾り付け担当ね。あ、でも外でやるのもいいかもしれないわよ。学園の許可は必要でしょうけど」
オリヴィアも積極的になったものだ。
「わっ、私は、えっと」
「俺とリュークとセイナは、そわそわ担当だな。開始までそわそわしよーぜっ」
「わ、私だって何かしたいです〜!」
「セイナちゃんも、一緒に作りましょう? 宝石みたいな色とりどりのゼリーはどうでしょうか」
「ものすごく食べたくなってきました!」
「作りたくじゃねーのかよっ」
軽快なリュークの突っ込みは、親しさの表れだ。
ゲームでは夏休みまでに特定の女の子と仲よくなり、二人きりのデートが各ルートのエンドとなる。ベストエンドであれば、後日談が見られる形だ。
そして、全員を攻略すると、アナザーストーリーが解放される。
セイナ・ラミエルはアナザーストーリーで出会う少女。リュークとルリアンのベストエンドのあとの話。二人がまるで妹を見守るようにセイナと過ごす。そして最後には――。
この世界では違う。
今までの会話と雰囲気で察してしまった。
決意が揺らぐ。
どうしていいのか分からない。
ラビッツと恋人になった今の俺だからこそ、分かる。二人の間に、特別な空気を感じるんだ。リュークとセイナ、二人で過ごす時間がたくさんあったのだろうと――確信できるんだよ。
ゲームとは違った形のアナザーストーリーを歩んでいるじゃないかって。リュークと彼女が既に知り合っている可能性もあるかもしれないとは……わずかに思っていた。違和感もあった。
でも、まさか……この二人が既に特別な関係になっているなんて……。
何も知らないフリをして、苦い予感を飲み込んで笑ってみせる。
「楽しい歓迎会にしようぜ!」
俺にできるのは、それくらいだ。



