転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

「あのぉ。婚約者さん、ですか?」
「その通り。俺様の婚約者、ラビッツ・ロマンシカだ」

 ……そういえば、王宮では俺様キャラを演じないと病気かと心配されたけど、ここでは必要ないかもしれないな。我ながら痛々しいし、控えめにしておくか。

「はわわ。ルリアン・ウィービングと申します。ラビッツ様ですね、よろしくお願いします」

 ま、緊張するよな。将来の王妃だ。そして俺は将来の国王陛下……深く考えると胃が痛くなるからやめておこう。
 
「……よろしく。もっと楽に呼んでちょうだい」
「え、えっと。それなら、ラビッツさん」
「俺のことも、ニコちゃんでいいからね」
「はい、ニコラさん!」
「思いっきり、スルーされた!?」
「あはは」

 おお……画面越しでしか見られなかったルリアンが可愛く笑っている。おバカキャラもいいな。俺がちょっとおどけるだけで、こんな笑顔が見られる。

 ――スパーン!

「だから鼻の下をのばすのは、やめなさいよ」
「いてぇよ!」

 ゲーム同様、バンバン叩くよなー。
 さっき会った時に扇子で叩かなかったのは、単純に入学式のために鞄にしまい、そのままだったのだろう。今はもう制服のポケットに差してある。
 
「あのぉっ……」

 うぉぅ、ルリルリがラビッツを誘ってもいいかなと媚びるように俺を見て……!

「ああ、ラビッツも誘おう。ラビッツ、お前も学園パトロール隊の一員だ」
「いやよ」

 ……そこもゲーム通りにするのか。あの神台詞まで真似したくらいだから予想はしていたが。

 ラビッツは、このあとリュークの度重なる説得に折れて入隊する。ルリアンへのみみっちい嫌がらせに対する謝罪も兼ねてではあるものの……そこまでゲームの真似をするのかは、分からないな。

「ニコラさんっ、いきなりはよくないです。学園パトロール隊が何をするのかを説明しないと、誰もはいとは言えません」
「大丈夫だ。俺とラビッツはツーカーの仲なんだ。何も言わなくても念力で全てを理解している」
「はわわわ〜!? そうだったんですか、さすがです。世の中、不思議だらけですね」

 ギャルゲーのヒロインは口癖が決まっていることが多い。ルリアンはオーソドックスに「はわわ」だ。ラビッツはツンデレが癖みたいなものか。「寂しいのは嫌い」という台詞が多用されるが……俺に言ってくれるシーンはなかった。

「そうだよな、ラビッツ!」
「はぁ……そうね」
「安心しろ、ルリアンちゃん。ラビッツのことはリュークが説得してくれる。そのうち必ず入隊するから大丈夫だ。それより他のメンバーを探しに行こうか」
「は、はい。分かりました。お願いします」

 むんっと、ルリアンが気合を入れる。やっぱりメインヒロインだけあって可愛い。