戸惑ったように瞬きするマロンの前で、ピアツェが自分の皿から半分のフレンチトーストを移す。
「ほら。あたしのを分けてやるからしょげなさんな」
ぶっきらぼうな口調でも実の娘同然に接する姑に、マロンは「ありがとう、お義母さん!」と大きく笑った。
見た目は正反対だが、何かと気の合う二人は時々、嫁姑というよりも年の離れた姉妹のように見えた。
(ピアツェさんは美古都のママに少し似てるのよね)
ピアツェは見た目をはじめ、グレースの祖母とはまったく違うタイプの女性だが、彼女のことが大好きな理由はこの懐かしさもあるのかもしれない。
甘え上手で素直な末っ子だった前世の記憶は、自分自身のことと考えるよりも少し遠い存在という感じだ。それでも似てる誰かを見ると妙に懐かしい気持ちになり、時折無性に淋しさを覚えることを、グレースは誰にも言えないでいた。
二人がフレンチトーストを食べている間に、最後の客が席を立つ。昨日店を手伝ってくれたサイモンだ。
「レディ・グレース、ごちそうさま~。あっ、あとでうちの母さんが洗濯物取りに来るって言ってたから渡してね。モリーさん、今日も休みでしょ」
「えぇ?」
「母さんが言ってましたよ。一人で何でもやるのは無理でしょって。しかも今日は休むかと思ってたモーニングまでやってるんだから。――ってことで、俺もまた夜に寄りますね」
断る暇もなく爽やかに立ち去ったサイモンを見送るグレースに、マロンが「モリーさん、お休みなの?」と聞いた。
「ほら。あたしのを分けてやるからしょげなさんな」
ぶっきらぼうな口調でも実の娘同然に接する姑に、マロンは「ありがとう、お義母さん!」と大きく笑った。
見た目は正反対だが、何かと気の合う二人は時々、嫁姑というよりも年の離れた姉妹のように見えた。
(ピアツェさんは美古都のママに少し似てるのよね)
ピアツェは見た目をはじめ、グレースの祖母とはまったく違うタイプの女性だが、彼女のことが大好きな理由はこの懐かしさもあるのかもしれない。
甘え上手で素直な末っ子だった前世の記憶は、自分自身のことと考えるよりも少し遠い存在という感じだ。それでも似てる誰かを見ると妙に懐かしい気持ちになり、時折無性に淋しさを覚えることを、グレースは誰にも言えないでいた。
二人がフレンチトーストを食べている間に、最後の客が席を立つ。昨日店を手伝ってくれたサイモンだ。
「レディ・グレース、ごちそうさま~。あっ、あとでうちの母さんが洗濯物取りに来るって言ってたから渡してね。モリーさん、今日も休みでしょ」
「えぇ?」
「母さんが言ってましたよ。一人で何でもやるのは無理でしょって。しかも今日は休むかと思ってたモーニングまでやってるんだから。――ってことで、俺もまた夜に寄りますね」
断る暇もなく爽やかに立ち去ったサイモンを見送るグレースに、マロンが「モリーさん、お休みなの?」と聞いた。



