ヴィルヘルミーナは早速、
帝位を息子の王太子に譲り、
新皇太子にフィリップを指名すると
議会で宣言した。

それと同時に新皇太子フィリップの婚約も。
皇太子が外国の平民を妃に迎えるというニュースは
驚きを持って報じられ、
瞬く間にハイドランジア中を駆け巡った。

年配の貴族たちの中には批判的な意見もあったが、
若い貴族たちや一般国民からは
思いの外、肯定的に受け止められた。

ヴィルヘルミーナやアレクシスが知らなかっただけで、
最近では貴族と平民の間でも
ロマンスが生まれるようになっており、
フィリップが先陣を切ってくれたと
専らの評判だ。

フィリップを射止めた女性はどんな人なのか、
ハイドランジア中の国民が関心を持ち、
ミレーヌを特集した雑誌が飛ぶように売れた。
さらなるスクープを狙って
ウィステリアに特派員を派遣する出版社まで現れ、
ちょっとしたお祭り騒ぎである。