最終日の夜。
街全体が華やぎ、
マスカレードはクライマックスを迎える。
再び広場会場を訪れたフィリップは、
ミレーヌを探していた。
昨日、すれ違い様に声を掛けようとしたら
まるで自分を無視するかのように
そそくさと脇を通り過ぎたのだ。
その態度に違和感を覚えた。
やっと見つけた彼女は
やはり様子がどこか変で、
いつもの快活な笑みを浮かべていない。
それでもフィリップは、
努めていつも通り声をかける。
「また会えたね、ミレーヌ。昨日は――」
「……昨日、偶然全部知ってしまったの。あなたが“誰”なのか。」
彼は言葉を失う。
ミレーヌは仮面の下で苦笑しながら続けた。
「王子と平民。そんなもの、同じ場所に立てるはずがない。私、ジャーナリストなの。私は権威を否定して記事を書いてきたわ。それなのに、王族の人間と親しくなるなんて――自分を裏切ることになる。」
街全体が華やぎ、
マスカレードはクライマックスを迎える。
再び広場会場を訪れたフィリップは、
ミレーヌを探していた。
昨日、すれ違い様に声を掛けようとしたら
まるで自分を無視するかのように
そそくさと脇を通り過ぎたのだ。
その態度に違和感を覚えた。
やっと見つけた彼女は
やはり様子がどこか変で、
いつもの快活な笑みを浮かべていない。
それでもフィリップは、
努めていつも通り声をかける。
「また会えたね、ミレーヌ。昨日は――」
「……昨日、偶然全部知ってしまったの。あなたが“誰”なのか。」
彼は言葉を失う。
ミレーヌは仮面の下で苦笑しながら続けた。
「王子と平民。そんなもの、同じ場所に立てるはずがない。私、ジャーナリストなの。私は権威を否定して記事を書いてきたわ。それなのに、王族の人間と親しくなるなんて――自分を裏切ることになる。」



