ある日、フィリップが街を散歩していると
以前見かけた孤児が声をかけてきた。
「エレーヌお姉ちゃん、知らない?」

聞けば、
ここ何日もエレーヌが姿を見せないのだという。
最近頻発しているという
若い女性の連れ去りに
彼女も巻き込まれたのではと
フィリップは直感する。

「この前、エレーヌお姉ちゃんが男性に連れて行かれるのを見たんだ。てっきりお兄さんと歩いているのかと思ったんだけど、違ったのかな。」
「もっと詳しく話してくれ。」
フィリップはその孤児を連れて、
警察署に直行した。
普段は孤児の話なんか
まともに取り合わないであろう警官も、
フィリップが一緒となれば話は違う。
最後にエレーヌの姿を目にした孤児の証言により、
アロイス卿の足取りが判明した。

警察部隊とともにアロイス卿の追跡をすることになり、
成り行きではあるが、
フィリップは彼女を救うために戦うことになる。

僅かな手がかりをもとに
アロイス卿の隠れ家にたどり着いたフィリップは
生まれて初めて誰かを守るために剣を抜いた。
アロイス卿は激しい抵抗を見せるものの、
捕らわれた女性たちが
警察部隊によって助け出され
次々と解放されていく。

「私は悪くない。永遠の美を求めるのは人間の性だ。己の心に従って何が悪い!」
アロイス卿は全く悪びれることなく、
仕込んでいた毒薬を自ら飲み、
フィリップの前で呆気なく自害した。