彼氏から煙草を取るためには



本音がぽろって。


漏れた瞬間、視界がぐらぐら揺れて、あろうことか、じわっと涙が滲んだ。




え?

えぇ??

うそでしょ??

私冬也の前で泣くの??

そんなの、そんな醜い姿絶対に冬也に見せられないよ?



ここで泣くなんてあまりにも情緒オカシイ。私はこんな弱かった記憶なんてないのに。




「……、泣くほど条件決めて欲しいの?」




冬也のなかなか見たことない動揺っぷり。

そんな理由で泣く人なんて見たことないよ。でもなんて言い訳すればいいのかも分からない。



「う、ん。だから冬也決めて」

「……、…」



一拍おいて、涙が溜まった目頭に優しく指で抑えられる。自然と瞼も閉じた。




「じゃあ、デートしようか」




暗闇の中で冬也の声が響く。




「明日デートしてくれたら3日間吸わないであげる。有効期限ね」




瞼をあげた目の前には、さっきまで私に触れていた指でクッキーを摘んで食べている冬也。


きっと今日も、心臓を狂わされた。