ね、なんて。相変わらずの王子様スマイルでそう言ってきたんだ。
あの時初めて真正面から笑顔を向けられて
同時に心臓があっけなく狂わされた。
「それが、こんなオオカミ王子様だなんて、思わないよ……」
「なーに独り言言ってるのよ」
むぎゅとまたもやクッキーを突っ込まれる。
冬也の中ではやっぱり私は三歳児なんだ、クッキー食べたらいい子になると思ってる。
「……冬也が条件は決めて。私からのお願い」
ここでお願いなんて言ったのはズルいとは思う。でもたまにはズルくていいのだ。
冬也に興味も持ってもらうためにはこれぐらいしないと無理。
自由奔放で、自分のしたいことをしている冬也が大好きなのに、
ときどき私に全てを向けて欲しいなんて、悲しくなるのはなんでだろう。



