小さく音を立てて鍵は神崎くんの手に渡った。


……

なんだか、その音すら嫌味に感じる……。



「そんなに鍵返したいですか?」

「鍵が返したいのではなく、神崎くんに負けたくない」

「意味が分かりません」



そのまま神崎くんは私のことなんて置いて
そそくさと歩いて行った。

……いつも通り冷たい。

あの可愛い笑顔を向けてくれた君はどこに行っちゃったのよ。




それにしても神崎くんの発言。

───そうゆうことか。ってどうゆうことだ?なにが”そうゆうこと”なんだ?


あの時はあまりの衝撃に頭が真っ白になっていたけど

冷静になってみると
30分越しにあの発言に疑問が湧いてくる。神崎くんは私の名前を見て何を考えたんだろうか。



……でもまぁ、神崎くんの考えていることなんて私が考えても分からない。あの人は私の考えの裏をかいてくるから。



くるりと方向転換。重い足を引きずって靴箱へと向かい、学校を出た。