ペラペラと手元にある図書室日誌を見る。
私たちの学校の図書室は毎日日誌を書かないといけない。そこに今日の利用者数を書いたり当番を担当した人の名前を書いたり。
私がこの日誌を遡るとき必ず見るのは決まっていて。
「……あった」
小さく、そして美しく書かれた仙谷冬也の文字。
文字まで美しいなんて、さすが完璧イケメン。
学校に残された王子様である仙谷冬也の直筆サインなんて、知られたら高値で売り飛ばされちゃうから私だけの秘密。
冬也が委員会にいた頃は放課後でもたくさんの人がいたのにな。あの景色は幻だったのかも。
時刻はもうすぐ16時半になるところ。今日も一時間目から七時間目までフルで授業があった。
窓から差し込むぽかぽかの太陽の光に加えて、授業で疲れ気味だった私はだんだんと瞼が重くなっていく。



