ボソッと、「意気地無しや」と囁いた結花を睨みつけながら「怖いもんは怖いわ」と言う。



結花知らないんだ、あの嫉妬を含んだ視線の恐ろしさを。



付き合い始めの頃。
あの視線を思い出すだけで鳥肌が立つよ。



「まぁー、確かにあの頃は私も叶葉を守るの大変だったよ」

「その節はありがとうございます」



廊下を歩くたびにジロジロ見られたあの日々で私の味方をしてくれたのは結花を筆頭とする友人達。


感謝で頭が上がらない。




「でもさ、あれは叶葉が1年生であまりにも意外すぎたからだと思う。今の叶葉が仙石先輩の彼女で文句行ってくる人なんて絶対いない。断然できる」



いつもはちょっと生意気だけど、なんというありがたいお言葉……。


感動で涙がちょちょぎれそうだよ。


私は結花の両手をとって、自分の手で覆った。



「結花、ありがとう!私は結花がいたらもういいよ。冬也なんて知らない!」

「は?なんで仙石先輩!?」