真後ろで誰かの吹き出す音が聞こえた気もする。
でもそんなことよりお兄さん?



「お兄さん……」


「制服着てませんし、何やら親しそうだったので兄かと」



……



「そ、そうそう!!
お兄ちゃんなんだよね!!」




あそこまで見られてもなお、
冬也の彼女として認識されないとは。

でも神崎くんにはどうにか誤魔化せた!
ひとまず一件落着!





自分の教室へと戻る帰り道は結花にいじられるだけいじられた。



「お兄ちゃんはやばい!あんたどこまで釣り合ってないのよ!!」

「やめてよ……!傷口に塩塗らないで!」



いとこ、はとこにプラスして兄。
釣り合ってないことは分かっていたけど、ここまでとは思わなかった。


釣り合ってなかったから誤魔化せた。
不幸中の幸い。不幸がデカすぎる。




「でもさ、普通に仙石先輩が彼氏だって言ったらいいのに。そこまで隠す?」


「だって1.2年生の中では冬也はアイドルみたいに言われてるし。バレた時の返り討ちが怖すぎる」