私と彼と彼のアンドロイド

「……そうよ」
 ややって、彼女は肯定した。
「私と一緒にアメリカに行くといって、ホテルで熱い夜を過ごしたの」
「ありえない」
 セカンドは即座に否定した。

「なかったことにしたいの? つくづくひどい男ね」
 女性は胸元を強調するように腕を組み、前傾して彼に胸元を見せ付ける。
 音緒は絶望した。自分とはなにもかも違い過ぎる。大人の色気たっぷりで、光稀もこんな人と結婚したかったのだろうか、と思う。

 が、セカンドの微笑は崩れなかった。
「僕は妻を溺愛している。あなたなんかとホテルに行くはずがない」
「な!」
「え!?」
 思いもかけない言葉に、音緒はきょとんとした。臆面もなく溺愛とか言うのはセカンドの特性に似ている。

 音緒は自分の隣に立つ、セカンドであるはずの男性を見た。激しくうろたえているこの人は、もしかして。

「音緒ちゃん、これはね……、トレイシー、妻の前でろくでもないことを言わないでくれ」
 おろおろと説明する彼に、音緒は確信した。

「光稀さん、セカンドと入れ替わってたの? どうして?」
「いや、あの。ね……」
 バレた、と顔に書いてある様子で冷や汗をかいた光稀がうろたえる。

「この人、書斎に飾ってある写真の人よね。アンドロイドを作って……そこまでして浮気したかったの?」
「いや、ちが、これは……」
 怒りと悲しみの混じった音緒の言葉に、光稀は言葉をなくして口をぱくぱくさせた。



第六話 終