私と彼と彼のアンドロイド

「このデザートは君みたいだね」
 光稀の言葉に音緒は小首をかしげた。そんな仕草すらかわいくて、光稀はにやけそうになるのを必死で抑えて微笑を心がける。
「見た目はかわいいし、中身も充実している」
 言ってから、ぜんぜん褒めている感じがしない、と焦る。

「ありがとう」
 礼を言って笑む音緒がかわいくて、光稀の胸がずきゅんと打ち抜かれる。
「本当にかわいい……」
 思わず出た言葉にさらに焦る。が、「落ち着け、今の僕はセカンドだ」と言い聞かせる。

「セカンドは褒め上手だね」
「本心だよ。君は綿密に設計された基盤よりも美しい。無駄のない配線と配列、信号の伝達も効率的な基盤は機能美があるけど、それよりも美しくて……」
 言いかけて、はっとした。セカンドがこんな褒め方をしているのは見たことがない。つまりスマートに褒められていないということだ。

「基盤って、前にみせてもらったけど、線がいっぱいあってなんだかおもしろそうだった」
 光稀はまたきゅんとする。相手をおもんぱかって合わせてくれるところが音緒の最大の魅力だと思う。

「音緒は優しくてかわいくて、誰よりも素敵だ」
 よく言った自分!
 普段なら言えない言葉を口にした自分にグッジョブを贈る。が、音緒は物憂げに目を伏せた。

「光稀さんもそう思ってくれたらいいんだけど……」
 思ってるよ! そう言いたいが、とっさに言えない。彼女にはセカンドだと思われているはずだから。