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家について音緒が部屋に戻ると、光稀はすぐに書斎に行った。
電源を入れると、セカンドはすぐに起動した。
「セカンド、頼みがある」
「なんだ?」
「僕のふりをして、一時間くらい外出してきてくれ」
セカンドは軽く首を傾けた。
「いつもは僕の単独行動を嫌がるのに」
「今日は特別だ。いいか、一時間で戻って来いよ。鍵は渡しておくから。駅前のカフェででも時間をつぶしてろ。余計なこととか目立つこととかするなよ。GPSをつけたから、いつでも居場所はわかるんだからな」
「了解」
言い置いて、光稀は二階の音緒の部屋の前に行った。
「音緒ちゃん、ごめん、僕は急用ができた。食事はセカンドと一緒に行ってほしい」
「え!?」
部屋から驚きの声が聞こえて、ドアが開いた。
ワンピースに着替えた音緒がかわいくてどきっとしたが、光稀は平静を装う。
「セカンドって、ごはん食べられないよね?」
「それは……改良したから大丈夫。準備が終わったら声をかけてね」
「うん」
音緒が部屋にひっこむと、光稀はセカンドに一万円を渡してさっさと出発させた。
食事には、自分がセカンドのふりをしていく計画だ。
「あれ? セカンドを外に出す必要ってあったか? 僕がセカンドのふりをして出かけるなら、セカンドは家に待機でよかったかな? いやいや、僕が用事があって一緒に行けない設定なんだから外出は必要だよな?」
ぶつくさと言っているうちに、階段をとんとんと降りて来る足音が聞こえて光稀は背筋を伸ばした。
今から自分はセカンドだ。慣れ慣れしくしても音緒は違和感を持たないはずだ。
「行こうか、音緒ちゃん」
手を差し出すと、音緒は暗い顔でその手を取った。

