が、光稀はにこっと笑っただけだった。
「『妻』からときどき聞いていますよ。お世話になってます。音緒ちゃん、車に乗って」
妻を強調して言った光稀は、音緒をぐいっと引き剥がして車に乗せ、大翔に向き直る。
「君は若いからわかってないでしょうが、女性に気軽に触れるのは好ましいことではありません」
「先輩……てか、友達だからいいと思いますけどね」
大翔は言い返すが、
「友達なら友達の距離感を守るべきです。では」
言い置いて、光稀は運転席に乗った。
「……んだよ、嫉妬かよ、あいつを大事にできてないくせに」
吐き捨てる大翔の前で、車は静かに発進する。
運転席で、光稀は無表情で前をまっすぐ見ていた。
「音緒ちゃん、帰ったら準備して外で食べよう」
「……わかった」
なにを考えているのかと光稀を見るが、彼の表情は変わることがなくて、音緒にはなにもわからない。
大翔は友達付き合いをしている先輩とはいえ男性だ。が、彼に肩を組まれているのを見ても、光稀に怒った様子はなかった。つまりは嫉妬をしていないのだろう。
そう思う音緒の心は暗く深く沈んでいった。
「『妻』からときどき聞いていますよ。お世話になってます。音緒ちゃん、車に乗って」
妻を強調して言った光稀は、音緒をぐいっと引き剥がして車に乗せ、大翔に向き直る。
「君は若いからわかってないでしょうが、女性に気軽に触れるのは好ましいことではありません」
「先輩……てか、友達だからいいと思いますけどね」
大翔は言い返すが、
「友達なら友達の距離感を守るべきです。では」
言い置いて、光稀は運転席に乗った。
「……んだよ、嫉妬かよ、あいつを大事にできてないくせに」
吐き捨てる大翔の前で、車は静かに発進する。
運転席で、光稀は無表情で前をまっすぐ見ていた。
「音緒ちゃん、帰ったら準備して外で食べよう」
「……わかった」
なにを考えているのかと光稀を見るが、彼の表情は変わることがなくて、音緒にはなにもわからない。
大翔は友達付き合いをしている先輩とはいえ男性だ。が、彼に肩を組まれているのを見ても、光稀に怒った様子はなかった。つまりは嫉妬をしていないのだろう。
そう思う音緒の心は暗く深く沈んでいった。

