私と彼と彼のアンドロイド

 確かにセカンドを連れて出たのは良くなかったかもしれない。だけど、いつまでも子ども扱いする彼もよくないと思う。言っても伝わらないなら、なにがあれば大人として認めてもらえるのだろう。

「……きち」
 学生だからだろうか。卒業して就職したら大人として認めてもらえる?
 だが、就職はしなくてもいいよ、と言われている。むしろ就職してほしくなさそうだった。それだといつまでも被保護者のままだ。

「秋地!」
 強く名前を呼ばれて、はっとした。
「大丈夫か? 考え込んでたけど」
「ごめんなさい、大丈夫です」
 音緒は笑ってごまかした。

「あの車、そうじゃね?」
 大翔が指さす方向に、黒い車が見えた。
「そうかも」
「リクサスかよ、高そうだな」

 つやつやに光沢を放つ黒い車はふたりの前で止まり、スーツを着た光稀が降りて来た。彼はじろりと大翔を見て、不快気に眉を寄せる。
 音緒はすぐに紹介した。

「光稀さん、こちらは先輩の吉池さん」
「はじめまして。仲良くさせてもらってまーす」
 大翔はにこやかに笑って音緒に肩を組んで来た。

「先輩!?」
 音緒は慌てて彼から離れ、大翔は挑発的に光稀を見る。