私と彼と彼のアンドロイド

「もうそろそろ行くね」
 音緒が立ち上がると、マンガを読んでいた大翔が顔を上げた。
 部室にはいつも通り、音緒と希世と大翔の三人がいる。

「大学生を保護者が迎えに来るって、変じゃね?」
「変じゃないし、夫です」
「保護者みたいなもんだろ」
 大翔のからかいに、音緒はむっとする。

「いちいちからむの、やめたほうがいいですよ」
 希世はあきれたようにつっこむ。
 四限目の授業後、音緒は迎えの時間まで部室のマンガを読んで暇をつぶしていた。大翔は同様にバイトまでの時間をつぶしていたのだ。
 デート練習の失敗は彼にも希世にも話していない。情けなかったし、心配をかけたくなかったから。

「俺もそろそろバイト行くわ」
「私はもう少しいるから」
 そう言う希世に戸締りを頼んで部室を出る。
 光稀が来る予定の裏門に向かうと、大翔がついてきた。

「門まで送ってやるよ。俺、紳士だからさ」
「紳士って」
 音緒がくすっと笑うと、大翔も笑って返した。

「いつもは電車なのに、今日はなんで迎え?」
「わかんないですけど、心配してくれて」
 実際はセカンドとのお出かけのせいで、またなにかをやらかさないかと不安にと思われているのだろう。