家に帰った音緒は、玄関で待ち構えていた光稀を見て顔をひきつらせた。
「どこへ行ってたの?」
ちょっと怒ったような光稀に、音緒は焦る。
「……スーパーに買い物に」
とっさにそう答えていた。
「その割には手ぶらだね」
言われて、はっとする。なんて幼稚な嘘を言ってしまったのだろう。
「水族館に行っただけ。僕がついていたんだから大丈夫だ」
「はあ!?」
「光稀が音緒ちゃんとなんども行った水族館だが、今日の思い出だけは僕と音緒ちゃんだけのものだ」
自慢げに言うセカンドに、光稀は違和感を覚えた。学習の効果でAIが優越感を持ったのだろうか。それは許容していいものなのだろうか。
「セカンドは書斎に行って待機してろ」
「嫌だ。音緒ちゃんと一緒にいたい」
セカンドに抱きしめられ、音緒は動揺した。
「待って、なに!?」
光稀は顔をしかめ、セカンドの首に手を回した。後ろにあるスイッチを切ると、がくりとセカンドの手が垂れさがる。
「再調整が必要だな……けどその前に」
光稀の目が自分を向き、音緒は思わず背筋を伸ばした。
「どういうことか、説明して」
「はい……」
音緒は観念した。
リビングに異動してソファに座ると、光稀が隣に腰掛けて音緒を見る。

