私と彼と彼のアンドロイド

 音緒は若干の罪悪感を覚えながら笑顔を返した。
 光稀が休日出勤になったと知ったとき、掃除がしたいからセカンドの手を借りたいと言ったのは自分だ。が、本当の目的は別にある。

「じゃあ行って来るね」
「行ってらっしゃい」
 音緒はにこにこと光稀を送り出し、セカンドに振り返った。

「セカンド、頼みがあるの」
「音緒ちゃんの頼みならなんでも聞くよ」
 セカンドはにこにこと返事をした。

***

 自宅を出た光稀は研究所とは別の方向へ車を走らせた。
 そうして都心部の一流と名高いホテルの地下駐車場へと車を入れる。

 車を降りてラウンジに行くと、店員に待ち合わせであることを告げる。
 ぐるりと見回すと、目的の人物はすぐに見つかった。

 ふわふわした長い金髪の彼女は大きなサングラスをして窓の外を見ていた。黒いカットソーに白いタイトスカートをはいており、そこから伸びる足はすらりとしていて、ハイヒールもまた黒かった。シンプルな服装がスタイルの良さを強調しており、彼女がそこにいるだけで映画のワンシーンのようだった。

 彼女は近づく光稀に気づくとサングラスをはずし、ぱあっと顔を輝かせた。
「会いたかったわ、光稀!」
 女性は席を立って光稀に駆け寄り、彼に抱き付いた。



第四話 終