私と彼と彼のアンドロイド

『そうだとしても、あれはショックだった』
『やきもち焼いて慌ててたんだったりして!』
『だとしたら嬉しい!』
 セカンドも嫉妬だと言っていた。本当にやきもちだろうか。
 だが。

『だったらセカンドを置いていくわけないんじゃね? さっさと回収するはずだろ』
 大翔のツッコミに、音緒はしゅんとした。

『だいたいさ、秋地の夫ってすげえ失礼じゃね? そんなやつとは離婚したら。やっぱ年が離れてるとダメなんだろ』
 大翔から返信に、音緒はスマホを取り落した。
 震えながらスマホを拾うと、希世が猛反論していた。

『失礼なのは先輩! 音緒は真剣に悩んでるのに!』
『無神経!』
『だからモテないんです!』

 希世の怒涛の書き込みに、しゅぽん、と大翔の返信がくる。

『俺だって秋地のこと心配なんだよ!』
『秋地につらい思いをさせる男の味方なんかできねーよ!』
『秋地を幸せにできるやつはもっとほかにいるだろ!』

 音緒はびっくりしてスマホをガン見した。
 ふだんはひょうひょうとしている大翔がこんなに自分を心配してくれているなんて、思ってもみなかった。

『秋地、お前だって、「そんなことない、愛されてる」って言われるの待ちなこと言うのやめろよ』
 音緒の胸にぐさっとなにかが刺さった。確かに、無意識にそう思っていた気がする。