私と彼と彼のアンドロイド

「まさか勝手に来たの?」
「ダメ?」
 甘えるように問い返され、音緒はどきっとした。

「ダメな気がする。ちょっと離して、待って」
「それはできないな。せっかく会えたのに」
 ぎゅうっとされて放してもらえず、音緒は慌てる。が、なんとかバッグからスマホを取り出して光稀に電話をした。

『もしもし?』
 つながった電話に、音緒はほっとする。
「光稀さん、仕事中にごめんなさい。今セカンドが来てて」
『セカンドが!? すぐ行く!』
 電話はすぐに切れた。

「せっかくふたりになれたのに、なんで邪魔者を呼んだの?」
「邪魔って……光稀さんだよ?」
 音緒は驚いて彼を見る。

「たとえ作成者であっても、君との時間を奪う存在は邪魔者でしかないよ」
 優しい微笑で諭すように言われて、音緒の胸はさらにどきどきする。

「とにかく、リビングで光稀さんを待ちましょう」
「仕方ないな。音緒ちゃんがそう言うなら」
 セカンドは微笑したまま音緒の頭をぽんとした。