私と彼と彼のアンドロイド

「普通それ、喜ぶところじゃないの?」
「え?」
 虚をつかれた音緒は「そうなのかな」と呟きながら座り直す。

「気分転換でしょ。そういうときもあるって」
「そうかな……」
「結婚指輪は? はずしてたらやばいっていうじゃん」
「そこまで見てなかった」
 記憶をたどるが、指輪のことはまったく思い出せない。

「音緒をさしおいて浮気なんかしたら、私がBLの餌食にして描いてやるわ」
「餌食って」
 笑いながらも音緒は友情に感動し、一方の大翔は閃いた! という顔をした。

「浮気のアリバイ作りにアンドロイドを作ったんじゃね?」
 音緒は再び絶望のどん底に叩き落された。ショックのあまり言葉もない。

「先輩ってバカですよね」
 希世に怒られて、大翔は口をつぐむ。

「気にすることないよ。きっと大丈夫」
「うん……」
 音緒はハンバーグを口に入れる。
 食欲はすっかりなくなっていて、食べきるまでにいつもより時間がかかってしまった。